朝学習などで新聞を教材に学ぶNIEタイム。通常は2、3年間をめどに続けることが多いが、小樽市立高島小は、長期の5年間を視野に行っている。5年生から始め、進学先の同北陵中と連携し3年生が卒業するまで記事に向き合うよう学校間で態勢を整える。苦手とされる活字に取り組むことで国語力につなげたい考えだ。(森田一志)

朝のNIEタイムでワークシートに取り組む高島小5年生

朝のNIEタイムでワークシートに取り組む高島小5年生

2月4日の朝に使ったワークシート。北京冬季五輪をテーマにしていた

2月4日の朝に使ったワークシート。北京冬季五輪をテーマにしていた

 朝学習は平日の授業前10分間。読書、ドリル学習、北海道新聞のこども新聞「週刊まなぶん」を読む日もあるが、大きな柱は毎週金曜のNIEタイムで使う同小作成のワークシートだ。
 2月4日はこの日開幕する北京冬季五輪がテーマだった。5年生の森地珠羽(しゅう)さんは朝日小学生新聞から引用されたワークシートのコラムを読んで言った。
 「夏と冬の五輪が開かれるのは北京が初めてと知った。大会見てみたいな」
 夏の北京五輪(2008年)に続く冬の開催に向け、コラムでは雪不足を解消しようと人工雪を活用する記述にも5年生の関心が集まった。地球温暖化で冬の五輪開催可能地が次第に減っていくという予測に触れ、高橋美羽(みう)さんは「温暖化をなくす努力をしないと」と対策の必要性を訴える。
 ワークシートはB4判。毎回、国連のSDGs(持続可能な開発目標)をキーワードに17の目標がレイアウトで配置されている。2030年までの達成目標「男女の平等」や「質の高い教育」などが、複数紙から選ぶコラムのどの部分に該当するかを考える。文中の熟語の意味を国語辞典で調べる記述欄もある。感想はコメントにするか、俳句や川柳にして締めくくる。川柳は新聞にも投稿する。
 「朝の10分でも続ければ読むスピードが早くなり、十分書けるところまでいけます」。仕掛け人の同小校長高橋恒雄さん=日本新聞協会NIEアドバイザー=は断言する。市立銭函中勤務時代、1年生から記事を多読させ、新聞の川柳欄へ作品を投稿していた6年間の経験に裏打ちされている。
 通常は小中高など校種の枠の中で行われることが多い。「ただ、中学3年間では限界があると感じました」。それがNIEタイム5年の始まりだった。高島小校長の直前は2年間、北陵中の教頭を務めNIEを推進しており、両校が連携するのは自然の成り行きだった。
 高橋流が根付く北陵中では全学年の朝読書で週1回、NIEタイムのほか、1年の総合学習で新聞を活用する。新聞コラムを200字程度にまとめたり、読後感を新聞川柳欄に投稿したりする。小樽の課題にも目を向け、手作りのワークシートには北海道新聞の地域面の記事も活用する。こうした教材作りは高島小と同じく学校図書館司書や司書教諭らが担当する。
 野里岳司・教諭は「高島小の卒業生は書くことへの抵抗感が薄いようだ。最終的には情報をとらえ、伝える力をさらに育てたい」。最近の全国学力テストの質問で、自分の考えを伝える時「表現を工夫している」と回答した3年生は全国平均より8・5ポイント高かった。
 高橋さんによれば、NIEタイム5年間は中学1年生が学びなどに戸惑う「中1ギャップ」の解消にもつながるという。学びの階段を緩めて5、6年生に前倒しできるからだ。
 北海道NIE推進協議会元会長の高辻清敏さんは「『NIEタイム5年』は聞いたことがない。小中に続いて、高校で国際的な視野を養えば自分の将来を考えるキャリア教育につながる」と期待する。
 高島小のワークシートは5、6年生対象だが、最近は手を挙げる4年生も出始め、配布されている。平易な出題形式にしてきたのも一因とみられる。
 高橋さんは「このやり方を2030年までは続けてもらえれば」。目指すは息長い持続可能なNIEだ。