8月に開催され、オンデマンド配信中のNIE全国大会札幌大会(日本新聞協会主催)。主管団体の北海道NIE推進協議会の活動を締めくくる全体会が10月1日、オンライン会議であった。11月まで配信中の公開授業や実践発表などを担当した多くの教職員らが「Zoom(ズーム)」で参加、教育現場からの成果と課題を振り返った。(森田一志)

「特別支援学校・学級におけるNIE」のオンデマンド配信用ビデオ収録のため、実践発表する曳田教諭(右)と三上教諭=8月17日、道新ホール

 

公開授業

▽小学

国語 資料をもちいた文章の効果を考え書こう

 夏井彩さん(札幌・桑園)は5年生の授業で、主張を書くために、身近な話題で資料付きの記事を選び活用した。「資料の取捨選択能力が身についた」

社会 武士の世の中へ

 中里彰吾さん(札幌・中央)は6年歴史で鎌倉時代のアイヌ民族の歴史に焦点を当てた。司会者の近井祐介さん(札幌・資生館小)は「適切な記事を選択し情報を読み取る力がついたのでは」と話した。

道徳 目標に向かって

 上野裕子さん(札幌・栄南)は4年道徳の教科書で取り上げられた元パラリンピアン谷真海さんの元気の源を探り「新聞のインタビュー記事で子どもの学びを深められた」。授業以降、学校の朝読書で新聞を希望する児童もいるなど「新聞が身近になった」。

▽中学

国語 説得力のある文章の工夫

 遠藤翔太さん(札幌・真栄)は1年生で3種の新聞記事を比較読みした。説得力をもたせるためどんな工夫をしているかに着目し「細かいところまで生徒は目を向けてくれました」。

社会 豊かな自然を生かした観光

 山田耕平さん(札幌・真駒内)は2年地理で環境に配慮した道内のエコツーリズムを取り上げた。「何度も読むことで立場の異なる人に気がつくことができる」と利点を挙げた。確かな感想を書けたという好意的な意見も生徒から寄せられたという。

道徳 尊い命をつなげる

 近野秀樹さん(札幌・あやめ野)は1年道徳で大学病院の心臓移植手術を見学する高校生の特集記事を使った。一般記事は要点が詳しく書かれて道徳を学ぶ生徒の考える余地が少なくなるといい「教材に使えるものがなかなか見つからない」と課題を指摘した。

▽高校

総合 探究活動発表

 志田淳哉さん(札幌南)は、NIEになじみの薄い数学、体育の教諭を巻き込み一緒に指導。自ら課題を設定して考えるため1年生の新聞学習などを経て最終的に3年生五つのグループが発表した。「簡単に答えを見つけようとする風潮がある。今回は答えのない問いを求めたら、難しかったようだ」と手応えを語った。

情報 インターネットを利用したサービス

 桶雄一さん(恵庭北)はスマートフォンの家庭内ルールなどを複数の記事を使い2年生に教えた。司会の高瀬敏樹さん(札幌旭丘)は新型コロナウイルス禍で生徒の対面上の話し合いが難しかったとし「来年度には高校に端末が一人一台になる」とデジタル上での交流促進に期待を示した。

実践発表

アイヌ文化学習とNIE

 川上知子さん(新ひだか・三石中)はアイヌ文化復興拠点「ウポポイ」の体験学習で新聞づくりなどを指導し、山崎辰也さん(北見北斗高)は民族格差の経済的問題を3年生の「現代社会」の授業で教えた。

小規模校のNIE

 伊藤静香さん(富良野・扇山小)は前任の小規模校で行った全児童による新聞づくりで調べたり、書いたりする力を育成した。
 司会の佐藤元昭さん(札幌・鴻城小)は「教科横断的に行い、大きな結果になった」と現場の努力をたたえた。

言語活動とNIE

 田中大地さん(札幌・北都中)は3年生に対し国語3年間の学びを記事を使い確認した。佐藤元昭さんは「(情報や構成に優れた)新聞の特徴を活用した」と語った。

英語学習とNIE

 山崎史朗さん(小樽・菁園中)はSDGs(持続可能な開発目標)や男女格差などの英文記事を3年生に読ませることの利点を示した。前任校で同僚だった図書司書の渡辺雅代さん(同・桜町中)は新聞や資料提供をサポートするのが役割とし、教諭と目標を共有することの意義に触れた。
 司会の佐藤尋之(ひろゆき)さん(札幌・もみじ台中)は「図書館との連携がよく考えられたことで成果が上がった」。

特別支援学校・学級におけるNIE

 曳田和樹さん(岩見沢高等養護)は肢体不自由の生徒に政党のマニュフェスト(政権公約)や首相辞職の記事を複数紙読ませる授業を行い「生徒の不足がちな社会経験を補完できるのが強み」と長所を語った。三上毅朗さん(札幌・藤野中)は、食品ロスをなくす買い物の記事を生徒と読み「SDGsを考えるきっかけになった」。

地域学習とNIE

 川端裕介さん(函館・亀田中)は1年社会の「防災と減災」「北海道の縄文時代」について記事データベースを使い地域の課題を探った。柳沢脩介さん(釧路・青陵中)は2年社会の「北海道地方」で、コロナ禍で打撃を受けた観光の回復にツアープランをつくる授業で新聞情報を活用した。

道徳学習とNIE

 矢島勲さん(苫小牧・日新小)は、書店が閉店したマチへ地元で大手書店を誘致する記事や途上国への給水設備の寄付を呼びかける広告などを素材に6年の授業を行った。

学校図書館とNIE

 加藤孝志さん(七飯高)浅村麻姫子さん(札幌・手稲中、稲積中司書)山田佳子さん(札幌・北郷小)の3人が校種別で新聞活用を発表。
 高校の切りぬき新聞、社説の比較読み、中学では新聞を置く札幌市内の学校図書館のアンケート結果、小学校の新聞づくりも行った。加藤さんは代表で「新聞や資料などで学校図書館を普段使いできるよう整備することが大事」と話す。

北海道の食に関わる学習とNIE

 沢田敦さん(札幌・山の手南小)は道内の小麦の地産地消への取り組み、掛水成幸さん(音更・緑南中)は農業のグローバル化を、ともに記事で取り上げた。

金融学習とNIE

 高石大道さん(札幌新陽高)は、金融や経済を記事データベースで調べることを指導し、東京証券取引所からのオンラインセミナーも実践した。

特別分科会

日本遺産「炭鉄港」

 鹿糠昌弘さん(美唄中)は8月17日、3年生の教室と特設の道新ホール(札幌)とを結ぶライブ中継で、ステージ上のNPO法人代表や新聞記者と記事を通じ交流した。
 鹿糠さんは新聞で炭鉱の過去から現在、未来を見つめ「地方版の役割が大きいと感じた」。

GIGAスクール時代のNIEとICT

 中川一史さん(放送大学)と浦部文也さん(横浜市立荏子田小)は1人1台の端末で新聞教材をどう使うのか3部構成で発表した。