*的確な情報活用 追究の種まく

 第26回NIE全国大会札幌大会が16日、オンラインで開催された。「新しい学びを創るNIE~家庭、教室、地域をむすぶ~」のスローガンの下、新聞をどう活用し、教育に役立てるかを考えた。菊池安吉・大会実行委員長(北海道NIE推進協議会会長)に振り返ってもらった。

菊池安吉さん

菊池安吉さん

 爽やかな夏空の下、大会会場は札幌文化芸術劇場hitaru(ヒタル)だった。基調講演では、「歴史と出会う――新聞という回路」と題して、札幌ゆかりのノンフィクション作家梯久美子さんが登壇した。
 戦時中の硫黄島総指揮官栗林忠道を描いたデビュー作「散るぞ悲しき」の取材過程を通して、栗林さんの決別電報が大本営に改ざんされ新聞報道されていたことが執筆を後押ししたこと。当時の新聞紙面を見ると、どんな時代だったのかがリアルに伝わること。「歴史の縦軸として、新聞記事をていねいにつないで史実を読み解くことが重要」ということが印象に残った。歴史観を養うために新聞は有効なツールになることや子供たちが自分の育った地域の歴史を学ぶために地方紙が重要な役割を果たすことが伝わった。
 パネルディスカッションでは、元北海道日本ハムファイターズ選手で学校法人田中学園理事長である田中賢介さんをはじめ7名がパネリストとして登壇し、新聞とはどんな存在か、新聞のある生活、今なぜ新聞、NIEと学力、新しい学びとデジタル、新聞は面白いか等をテーマに意見が交わされた。家庭、教室、地域、学校のそれぞれの立場から生の声が引き出され、充実したものとなった。
 公開授業や学習成果はオンデマンド配信されている。8本の公開授業では、小学校・中学校は国語科、社会科、道徳、高校は総合的な探究の時間や情報科の授業で、新聞を効果的に活用する方法を探った。視聴してご意見・感想を寄せていただければ幸いです。
 特別分科会「日本の産業基盤を築いた日本遺産『炭鉄港』」では、美唄中3年の社会科の授業を札幌の道新ホールの特設会場と結んで中継し、双方向性の研究討議が行われた。今後の研究大会のスタイルとして提案性のある取り組みだった。授業づくりの段階から「炭鉄港」の価値を大切にするNPO法人の理事長や炭鉱跡地の活用などを記事にしてきた新聞記者も加えて授業構成を検討してきた。専門家の視点も取り入れながら充実した学びを創り出すことができたと思う。
 「学校図書館とNIE」では、学校司書や司書教諭の新聞掲示板の工夫や身近に新聞を置くことで、新聞に慣れ親しみ、追究活動の種子をまくことと授業者である先生方と連携し、チーム学校図書館として機能させたいという強い願いが感じられた。
 「特別支援学校・特別支援学級におけるNIE」や「アイヌ文化学習とNIE」の実践発表も提言性のある興味深いものであった。新聞記事データベースを活用した実践もあり、札幌新陽高校の金融学習や函館・亀田中の地域学習では、あふれる情報を的確に活用する力や課題解決のアイデアを生む力を育てることが重視された。紙ベースの新聞の良さを理解しながら、データベースとの使い分けが今後進むものと思われる。
 今大会を通して、高校生の活躍が光った。開会式の司会や手話通訳、大会の様子を伝える記念新聞の制作、パネルディスカッションのパネリストなど、多彩な才能を発揮した。