*生きた情報 学ぶ熱気伝える

 新型コロナウイルス感染防止のためオンライン配信になった第26回NIE全国大会札幌大会(日本新聞協会主催)は、2日目の8月17日に行われる予定だった北海道大学での分科会に代わり、公開授業(8)実践発表(14)特別分科会(2)がオンデマンド配信される。全24のプログラムを配信するための映像の収録は順調に進んでいる。教育で新聞を使う授業や発表を担当教諭らと紹介する。(森田一志)

<実践発表>

■アイヌ文化学習とNIE

川上知子教諭

川上知子教諭

*新ひだか・三石中 川上知子教諭(39)

 アイヌ文化復興拠点「ウポポイ」での体験学習を新聞にまとめました。また、持続可能な開発目標(SDGs)の「人や国の不平等をなくそう」につながる、共に生きていくという視点で、生徒同士が対話を通じて民族共生への考えを深めた実践などを基に発表します。


山崎辰也主幹教諭

山崎辰也主幹教諭

*北見北斗高 山崎辰也主幹教諭(45)

 アイヌ民族の格差問題の克服に向け、先人の思想や生き方を手掛かりに考察した実践です。新聞は生徒の見方、考え方を育むため、社会認識を形成するための入り口として用いました。「現代社会」の授業で、経済分野と倫理分野を融合させた形式になっています。

■英語学習とNIE

*小樽・菁園中 山崎史朗教諭(44)、小樽・桜町中 渡辺雅代学校司書(61)

 新聞記事を単に英訳するのでなく、自分のものとして取り込み、思いや感想を交えて相手に内容を伝えることを主眼に置きました。資料は同僚だった渡辺さんに頼み、授業者の視点の偏りを減らすことで生徒に多様な思考の機会を与えることができました。(山崎)

山崎史朗教諭

山崎史朗教諭

渡辺雅代学校司書

渡辺雅代学校司書

■小規模校のNIE

伊藤静香教諭

伊藤静香教諭

*富良野・扇山小 伊藤静香教諭(42)

 新しい時代に必要な「発信する力」を育てることを目指し、総合的な学習のまとめや自由研究を新聞にして各コンクールに応募しました。児童10人前後でしたが、審査されることで意欲の高まりを感じました。前任校でチームで取り組んだ6年間の手応えを発表します。

■特別支援学校におけるNIE

曳田和樹教諭

曳田和樹教諭

*岩見沢高等養護 曳田和樹教諭(28)

 「選挙とメディアとの向き合い方」の授業を行いました。肢体不自由児の生徒たちは移動に制約があり、社会経験が不足しやすいと言われます。そこで、多様な価値観に触れられる新聞を活用して、マニフェスト(政権公約)から参政権の行使について考えました。

■特別支援学級におけるNIE

三上毅朗教諭

三上毅朗教諭

*札幌・藤野中 三上毅朗教諭(32)

 普段の買い物が、持続可能な開発目標(SDGs)と関わる「フードロス」につながることを自分事として考える授業ができました。新聞には身近な話題や興味関心のあることが載っているので、題材への考えを深める補助教材として活用しています。

■北海道の食に関わる学習とNIE

沢田敦教諭

沢田敦教諭

*札幌・山の手南小 沢田敦教諭(39)

 食糧基地・北海道の役割を理解するため、農業、水産業、輸出入業に従事する人たちの努力や工夫を学ぶとともに、1次産業が抱える課題や地産地消の大切さも具体例などから考えます。生産者、消費者の側だけでなく、行政の視点を加えるため記事を活用します。


掛水成幸教諭

掛水成幸教諭

*音更・緑南中 掛水成幸教諭(43)

 地域の出来事が、広く日本、世界とつながっていることを新聞記事を使って知り、考えを深めることを公民的分野での授業で目指します。教科書にない情報は、新聞だけでなく、記事データベースなど情報通信技術(ICT)も活用して得ることを考えています。

■言語活動とNIE

田中大地教諭

田中大地教諭

*札幌・北都中 田中大地教諭(26)

 正確性や文章構成などから新聞記事は文章の模範となります。そこで3年生を対象に、記事を活用した作問などを通して、国語の学びを振り返る試みを行いました。「新聞を学習の振り返りに活用する」「国語で学んだことを生かす」の二つの内容を伝えられれば。

■地域学習とNIE

柳沢脩介教諭

柳沢脩介教諭

*釧路・青陵中 柳沢脩介教諭(27)

 感染症拡大で観光業が打撃を受ける中、道内観光に新たな価値を見いだすことのできる力を養う学びを目指しました。新聞は、問題提起や情報収集などに活用。多角的に考察するため「食」「体験」など4項目を設定して取り組んだ、対話的な学習を紹介します。


川端裕介主幹教諭

川端裕介主幹教諭

*函館・亀田中 川端裕介主幹教諭(40)

 あふれる情報を的確に活用する力と課題解決のアイデアを生む力を伸ばすため新聞記事データベース(DB)を使った実践を紹介します。新型コロナが地域に与えた影響と世界遺産登録を控える「縄文遺跡群」に関する学習で、DBだからできる学びを発表します。

■道徳学習とNIE

矢島勲教諭

矢島勲教諭

*苫小牧・日新小 矢島勲教諭(43)

 子どもたちに少しでも温かい話題を伝え、明るい未来を考えてほしいと、12年間、道徳教育で新聞を活用しています。大会では朝学習や授業の導入など、さまざまな実践を紹介します。どれも授業のねらいに合わせて記事を加工し、「教材化」して使う実践です。

■金融学習とNIE

高石大道教諭

高石大道教諭

*札幌新陽高 高石大道教諭(31)

 金融資産の多様化が進む一方、高校生が関わる「お金」は限定的です。金融経済への関心を高めるために、北海道新聞社の記事データベースを使い、情報収集のプロセスの支援に注力しました。生徒自ら必要な情報を選び、整理する力の支援の大切さを学びました。

■学校図書館とNIE

*七飯高 加藤孝志司書教諭(51)、札幌・手稲中、稲積中 浅村麻姫子学校司書(46)、札幌・北郷小 山田佳子司書教諭(51)

 学校図書館は「本のある部屋」や「読書のための場所」としてだけでなく、「情報センター」「学習センター」として、新聞が配置されるよう財政措置がされており、複数の新聞資料を準備し、授業を支援する役割が期待されています。大会では、高校国語での新聞の読み比べや総合的な探究の時間で行った「新聞切り抜き作品」の取り組みを発表します。小中学校での実践も紹介する予定です。(加藤)

加藤孝志司書教諭

加藤孝志司書教諭

浅村麻姫子学校司書

浅村麻姫子学校司書

山田佳子司書教諭

山田佳子司書教諭

<特別分科会>

■GIGAスクール時代のNIEとICT 「過去、現在、未来」を結ぶ、新聞教材の可能性~1人1台端末を活用した新しい学び~

*放送大学 中川一史教授(61)、横浜市立荏子田小 浦部文也教諭(33)

 より広範な情報にアクセスできるようになったため、小4年生国語「新聞を作ろう」を単元に新聞の電子版やウェブ検索で情報を集めワークシートに自分の考えをまとめる。2人の役割は順に「解説」を中川、「実践」は浦部、「総括」は2人で行う。新聞教材との活用がうまくリンクしていけることを期待したい。(中川)
 新聞を扱い4年目。確かな情報は情報過多社会にとって必要不可欠です。(浦部)

浦部文也教諭

浦部文也教諭

中川一史教授

中川一史教授

■日本の産業基盤を築いた日本遺産「炭鉄港」

*美唄中 鹿糠昌弘教諭(48)、NPO法人炭鉱の記憶推進事業団(岩見沢) 吉岡宏高理事長(57)、北海道新聞旭川報道部 山口真理絵記者(28)

 北海道に開拓使が設置された1869年(明治2年)から約150年。2019年、『炭鉄港』が日本遺産に認定されました。近代北海道を築く礎となった三都(空知・室蘭・小樽)を、石炭・鉄鋼・港湾・鉄道というテーマで結ぶことにより、人と知識の新たな動きを作り出そうとする取り組みです。
 空知の炭鉱まちはエネルギーに満ちあふれ、炭鉱の灯が消えた今も「炭鉱(ヤマ)の記憶」はこの地に深く根ざしています。私は『炭鉄港』を生徒が自分事として考えることができる貴重な地域教材だと思います。
 吉岡宏高さんと出会ったことが「炭鉄港」の授業に深みを増す大きな契機となりました。また山口真理絵記者が執筆した「炭鉄港」の数々の記事を活用しさまざまな方々の考えに触れることができました。
 美唄中と特設会場をオンラインで結び、炭鉄港を縁に知り合った吉岡さん、山口さんと「産業革命の物語」を発信します。(鹿糠)

山口真理絵記者

山口真理絵記者

吉岡宏高理事長

吉岡宏高理事長

鹿糠昌弘教諭

鹿糠昌弘教諭

NIE全国大会札幌大会 授業者・発表者