*札幌・藤野中支援学級 SDGs主題に授業*望ましい買い物 生徒が意見*「てまえどり運動」の記事教材に

 8月16、17日に開かれるNIE全国大会札幌大会は2日目、公開授業や実践発表などが集中して行われる。新学習指導要領の目指す「主体的 対話的 深い学び」に向け、探究学習やSDGs(持続可能な開発目標)などの取り組みを発信する。大会のスローガン「新しい学び」に積極的な授業例を2回連載で紹介する。(森田一志)

 全国大会では札幌市立藤野中の特別支援学級、岩見沢高等養護学校が発表する。道内では最近、支援学校などが日本新聞協会のNIE実践指定校に手を挙げる例が目立つ。世の中の動きを詳しく伝える新聞に関心が高まる。

「食品ロス」の視点からSDGsを身近に生徒に学んでもらう三上毅朗教諭

 藤野中の特別支援学級では三上毅朗教諭が、まだ食べられる食べ物を捨てる「食品ロス」について全国大会で発表する。生徒が消費者として食品の無駄を減らす意識を高めるには身近な話題だ。SDGsでは目標2の「飢餓をゼロに」、目標12の大量生産、消費、そして大量廃棄からの転換を求める「つくる責任 つかう責任」につながる。
 授業は全6回。新聞を教材にした2月下旬の授業では「食品ロスをなくすにはどんな買い物が望ましいか」と質問した。1~3年まで生徒7人は相次いで「買いすぎない」「余計なものを買わない」と回答した。
 店舗売り場にある飲み物の陳列棚を例に考えた。カフェオレや乳酸飲料などが横3列でばらばらに並ぶ図を示す。どの列の飲み物を取るか生徒の回答は分かれた。後列を選んだ生徒は「(おいしく食べるための目安)賞味期限が長いから」と述べた。期限が短い商品は前列にあり後列ほど長いのが一般的だからだ。
 三上さんは産経新聞の「てまえどり運動」の記事(2020年10月29日)を教材に使った。奈良市のコンビニ店を扱い、陳列棚の商品を手前から取ることを推奨していた。「皆が奥から取ると、前列の商品ばかり残り捨てられる」と懸念を話すと「前列から取るのがいいと思う」と生徒の賛同の声が多かった。
 コロナ禍で買い物に行けない生徒のため、食品を買う疑似体験も行った。プリンや牛乳は賞味期限と実際に食べる時期の両方を考えて商品を選ぶ人が多く、期限の長いカップ麺は災害時の備蓄に触れた声もあった。三上さんはこの日、授業全体を振り返り「生徒の回答が画一的になりがちだった」と反省点に挙げた。
 北海道情緒障害教育研究会の小菅猛雄会長(札幌市立新発寒小校長)は今回の授業について「新聞が新たな刺激になって考えが深まった」とSDGsの理解に役立つと評価する。その一方で新聞には多様な活用の仕方があるとし「問題点を提起したいのか。あるいは根拠にするのか…。授業で新聞を使う場合は、もっと目的を明確にすれば提案性が高まる」と助言する。
 SDGsは本年度、札幌市の学校教育で重点項目に位置づけられ、重点教育の冊子の裏表紙に、マチの将来像を「SDGs未来都市」と描いて掲載された。今後、教育現場で学ぶ機会もさらに増えそうだ。市教委学校教育部は「SDGsの目標は幅広い。今後、どんなことを重点にするか整理するための論議をしていきたい」としている。

SDGs
 Sustainable Development Goalsの略。日本語で「持続可能な開発目標」。国連が貧困や飢餓の解消、教育機会や再生可能エネルギーの拡大など、国際社会が2030年までに達成すべき17の目標==を掲げる。例えば「貧困をなくそう」「ジェンダー平等を実現しよう」などで、達成のために169のターゲット(取り組み、手段)から構成されている。
 資源の枯渇や地球温暖化をどう防ぐかなど将来を見据え、住みよい地球を残すことを目的に15年の国連で採択された。日本政府はSDGs達成に向け環境に優しいまちづくりに取り組む「SDGs未来都市」として道内自治体からは道、札幌市、後志管内ニセコ町、上川管内下川町を選定している。