北海道新聞で掲載された記事を使って2011年4月に始まった教育教材「道新でワークシート」が今年3月、満10年の節目を迎える。NIEのホームページ(HP)で週に1回、提供し続けてきた。子どもの成長を願う教諭らの熱意に支えられ、教育現場にも浸透。近く通算900号に達する。(森田一志)

間もなく10年になる「道新でワークシート」

 ワークシートはNIE活動の普及・推進を目的に北海道新聞社の責任で編集している。開始時は小中学生向け週1枚でスタートし、14年4月からは週2枚に拡大した。17年10月以降は、月1回掲載の「NIEのページ」からワークシートがなくなり、HP専用になった。最近の4年近くはほとんど検索が可能だ。
 道新が作問協力を依頼するのは現役の小中学校教諭ら19人。北海道国語教育連盟、北海道社会科教育連盟、北海道社会科教育研究会の推薦を受けたベテランぞろいだ。
 ワークシートの利用は簡単だ。HPの「おすすめコンテンツ」から、クリックして開く。小中生向けワークシート一覧があり、授業で使うものを印刷するだけ。毎週、国語と社会科で更新される。
 札幌市東園小学校の檜克博教諭は2月上旬、小学2年生の国語の授業で教材にした。「つがい仲良くハート形」(20年11月24日夕刊、856号)は、森の樹洞で寄り添うエゾフクロウのペアの写真が大きく掲載されていた。本文を読んで鳥の特徴を書き込む設問があり、檜教諭は「声を出し事実を読み解く課題に使った。小2には少し早いかと思ったが、難しい言葉にも関心を示した。継続して使いたい」と語る。
 この1年間の利用アクセス数は7万3千件になり、上位には新型コロナウイルス感染関連記事のほか、アニメ「鬼滅(きめつ)の刃(やいば)」、昨年開業したアイヌ文化復興拠点「ウポポイ」など最新の記事が並ぶ。直近の年間3万数千件に比べほぼ倍増。スマートフォンでも手軽に利用できるようになったのが原因とみられる。
 中学国語の作問の監修を務める道国語教育連盟の横道幸紀事務局長(札幌市立真駒内中学校長)は、「生徒が問題意識を持てるような記事探しが大変だった」と初期の経験を振り返り「ほかの先生の記事選定や設問に感心させられたこともあった」と話している。

*札幌国際大 高橋伸教授*「読解力伸ばす一助に」

 ワークシート開始時から中学校国語を担当する札幌国際大学教授高橋伸さん(元道国語教育連盟研究部長)=国語科教育=に10年間の取り組みなどを聞いた。

 ――高橋さんはワークシート掲載第1号ですね。

 札幌市立中央中学校の教諭でした。放課後が忙しくなり、かべ新聞などが校内から消えていくことを寂しく感じていた時期。道新から連盟に作問協力の依頼があり引き受けました。新聞の仕組みや読み方を生徒に身に付けてほしいと思ったからです。

 ――この10年間でワークシートに変化は。

 経済協力開発機構(OECD)の学習到達度調査(PISA)で、日本の生徒は資料から情報を読み取る読解力が苦手だということがわかりました。学習指導要領で、知識技能として「情報の扱い方」も明記されました。新聞の利点を生かし、文章と表やグラフなどの資料も合わせて読めるように工夫してきました。

 ――ワークシートに期待できるのはどのようなことですか。

 説明文を正確に読み取る力や、自分の考えを書くことは、ますます重要になります。そういった力を伸ばすために、授業でも在宅学習の場面でも、威力を発揮してくれるはずです。大学では学生が日本語力を高めていくために、記事を活用した学びが効果的だと手応えを感じています。