新聞の一面コラムを使ったNIEを続け20年以上たつ。「自己流です」と謙遜するが、活用方法に工夫を重ねながら中学の国語教諭として、生徒の国語力の向上に努めてきた。
 コラムにこだわるのは「高い表現力、広い知識や見識を持って、世の中の出来事について書いているので、文章力、語彙(ごい)力がつく」と考えるから。授業で学習した内容が出ているものを使う。
 当初は生徒が用意した市販のノートに、本紙「卓上四季」や全国紙のコラムを貼って書き写させた。10年ほど前からは内容について調べたこともノートに書き込ませ、それを基に読解力テストを行う方法に変えた。
 書き込む内容は、例えば卓上四季(2018年12月7日)では、記事中にある「太平洋戦争開戦の日」の正しい年月日や、「出征」「荒唐無稽」といった語句の意味を辞書で調べたもの。別のコラムでは故事成語の意味など、大人でも「やり応え」あるレベルだ。
 近年は、「NIEワークシート」を関心ある生徒に配布する。昨年、学習到達度調査(PISA)で、日本の高校1年生の読解力低下が公表されると、コラムに対する自分の考えを80字程度でまとめる問題を加えた。ワークシートは採点し、生徒のやる気を促す。
 長年の取り組みの中で、生徒から「ニュースに関心を持つようになった」「もっと難しい記事を」などの声があったという。2年前には、別の中学校で、教科を担当する50人ほどの生徒の作文を本紙「ぶんぶんタイム」に投稿し、4人の作文が採用された。中沢さんは「文章力が上がったのかな」と振り返る。
 新潟県出身。北海道で教壇に立ち、地道に新聞を活用してきた。「NIEは子どもたちの視野を広げる」。豊富な経験に裏打ちされた言葉だろう。穏やかな口調だが心(しん)の強さを感じる。(坂本尚之)