来年8月に開催される第26回NIE全国大会札幌大会(日本新聞協会主催)の開催日程は、23日の実行委員会設立総会で8月16、17の2日間に決まった。基調講演はノンフィクション作家の梯(かけはし)久美子さん、大会の公式ロゴもお披露目されるなど着々と準備が進んでいる。(森田一志)

梯久美子さん

松本裕子さん

 設立総会は主管の北海道NIE推進協議会(菊池安吉会長、北海道新聞社など加盟13社)が開いた。開催日程は東京五輪札幌マラソン・競歩の1年延期に伴い当初案より10日間程度ずれこむことになった。会場は初日の札幌文化芸術劇場(ヒタル)、2日目の北大高等教育推進機構に変更はない。
 梯久美子さんは初日に講演し、続くシンポジウムにも出席する。司会はフリーアナウンサーの松本裕子さん(元UHBアナウンサー)。
 大会2日目の公開授業や実践発表は大枠が固まり、子どもたちが会場に集う公開授業や実践発表が行われる。大会スローガンの「新しい学びを創るNIE~家庭、教室、地域をむすぶ~」の下、今求められる子どもの「生きる力」を、新聞教材でどうやって育成するか探っていく。
 菊池会長は「実践者たちが種まきをし育てた成果を全国に発信できる場にしたい」とあいさつ。今年の全国大会は11月、東京を会場に行い、次回の開催地札幌にバトンが手渡される。

23日に開かれた来年のNIE札幌大会実行委員会設立総会

23日に開かれた来年のNIE札幌大会実行委員会設立総会

 

「いま」を重ね歴史に

 梯久美子さんの話 世界の「いま」を、切り取って届けるのが新聞だ。その「いま」を、長きにわたって積み重ねることで、ようやく「歴史」の姿が浮かび上がる。それができるところに新聞の価値がある。教育現場においては、児童や生徒に、日々のニュースの中で見つけたテーマに沿って、過去の記事をたどる経験をぜひしてほしい。いま起きていることを知るだけでなく、長いスパンでものごとをとらえ、歴史観を養うために、新聞は有用なツールである。

 かけはし・くみこ 1961年、熊本市生まれ。5歳から札幌市で育つ。札幌藻岩高校を経て北海道大学文学部卒業後、編集者を経て文筆業に。2005年のデビュー作「散るぞ悲しき 硫黄島総指揮官・栗林忠道」で大宅壮一ノンフィクション賞を受賞。同書は欧米をはじめ、8カ国で翻訳出版されている。近現代史における戦争と人間というテーマを一般読者に向けて執筆し、小学校と高校の国語教科書にも作品が掲載されている。昨年10月から、活動の拠点を東京から札幌に移している。

公式ロゴデザイン 江別高3年・今井優笑さん*シンプルで分かりやすく

今井さんと自分の夢の中を描いた油彩画「臥せる」

 NIE全国大会札幌大会の公式ロゴは江別高3年の今井優笑(ゆえ)さん(17)=札幌市白石区=の作品に決まった。北海道の地図を基調に見開きの新聞を取り入れたデザインが評価された。今井さんは「大会を知ってもらうため分かりやすさを第一に考えました」と話している。
 ロゴは北海道を青色にしたカラーと白黒の2種類。「NIE」の3文字も大きく描かれ、記事を虫眼鏡姿で読むキャラクターが愛らしい。道内高校生の応募78作品から大賞に選ばれた。選考委員が「よく読むというメッセージが含まれていて良い」「シンプルで分かりやすい」などと講評した。ロゴは今後、大会関連の新聞紙面などを彩る。
 美術部副部長の今井さんはゲームデザインの分野に興味があり、昨年春には江別市消防本部の公式キャラクター募集に応募した。キツネをモチーフにしたキャラが優秀賞に輝いた。そのセンスを知る美術部顧問の手塚昌広教諭がロゴ応募を勧めた。

第26回NIE全国大会札幌大会のロゴ

 新聞でよく読むのは天気欄。「NIE」の言葉は募集要項で知ったという。持ち前の感覚で「ぱっと思いついた」アイデアを、使い慣れたタブレット端末を駆使して見事、作品に昇華した。
 同時期には学生向けの道展U21で油彩画「臥(ふ)せる」(50号)を応募し奨励賞を受賞。手塚教諭は「2作品の共通部分はシンプルにまとめた点。デザインで伝えていく能力がある」と称賛する。
 今井さんは幼い頃、絵筆を握った経験があるが、高校で初めて美術部に入部し研さんを積んできた。「卒業後は美術系の学校に進んでもっと基礎を学び、将来はキャラクターデザインを描きたい」と笑顔を見せる。