新型コロナウイルスの感染拡大で、オンラインでの在宅学習を続ける私立札幌新陽高校(荒井優校長)の国語科教諭、細川凌平さん(25)が、コロナに関する新聞記事を使い授業を試行した。日々変わるコロナ禍の中でも、「正確な記事を読めば、生徒が当事者意識を持った学習ができる」と考えて取り組んだ。(坂本尚之)

テレビ会議システムを使って行われた「まわしよみ新聞」の授業。パソコン画面に写った生徒は、オンライン上で意見を出し合った=4月28日、札幌新陽高校(いずれも浜本道夫撮影)

テレビ会議システムを使って行われた「まわしよみ新聞」の授業。パソコン画面に写った生徒は、オンライン上で意見を出し合った=4月28日、札幌新陽高校(いずれも浜本道夫撮影)

新聞社の提供する「ワークシート」を活用した授業も行った

新聞社の提供する「ワークシート」を活用した授業も行った

 「このグループの出席を確認しました。課題に取り組んでください」。4月下旬、誰もいない教室で、細川さんがノートパソコンに向かって声をかけた。テレビ会議システムを使い、パソコン画面は私服姿の生徒複数人が映る。
 2年「国語表現」の授業が始まった。1クラス総勢37人が4、5人ずつ9班に分かれたオンライン版の「まわしよみ新聞」だ。生徒宅にある新聞や細川さんが事前にファイルを送信した新型感染症の多くの記事から、各人関心ある記事を一つ選び、グループ内で画像として共有する。選んだ理由や感想をそれぞれ発表し最も印象に残った記事をウェブ上の1枚のシートに張って全員がコメントを書き込む。
 坪田晴果(きよか)さん(16)は「児童虐待の通告1・5倍」の見出しの付いた記事を選んで発表。坪田さん自身が長い在宅学習で「ストレスがたまり精神的にまいってしまうこともある」と自分の経験と記事の内容が重なった、とした。パンデミック(世界的大流行)の記事では「新型コロナは感染経路の不明者も多く怖い」(坂口耀太さん)などの意見を出し合った。
 このグループがイチ押しし、最後に残ったのは新陽高と同様のICT(情報通信技術)を使った授業紹介の記事。「画面に咲く みんなの笑顔」の見出しが堂々と主張し、オンラインなどで学校と家庭の関係が深まる今を取り上げた。「休校せず授業を受けられるので勉強が習慣付けられる」(佐藤大雅さん)と共感した記事をシートに張ってコメントした。
 記事を教材にした細川さんのオンライン授業は、まわしよみ新聞のほか、北海道新聞などが記事から作問し、PDFで提供する学習課題「ワークシート」、記事の理解度を図る「新聞クイズ」の計3種類を使って行われた。
 新陽高がこうしたことができるのは休校措置を取らず、各教科を自宅でのオンライン授業にしているからだ。ほぼ通常の時間割で1日最大5コマを在宅学習に充て全生徒に配布したノートパソコンなどを使って授業を続けている。
 新聞を使ったオンライン授業について生徒の中には、「グループ学習のメンバーがそろわないこともある」「(パソコンなので)友だちとすぐ相談できない」といった声もあったが、「オンラインでグループ学習ができて驚いた」「普段、新聞は読まないので新鮮だった」「(他のメディアより)詳しく書いてあるので理解が深まった」など、受け止めはおおむね良かったようだ。
 新陽高は日本新聞協会が認定するNIE実践指定校。細川さんは実践者でもあり、今回の授業について、「オンラインでも教室での授業と同じように新聞活用ができる」と、初めての試みに手応えを感じたよう。また、「自宅にいる時間が長いので、生徒は記事をじっくり読めたのでは」とも話している。