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北海道新聞に掲載されたNIE 関連の記事などを紹介します。

<ほっかいどうサイエンス>19*雪虫*移動時期だけ羽生え飛行

 初雪が降るころ、気温が下がる夕方になると、小さく白い綿のようなものがふわふわ舞っているのを見かけます。それが雪虫です。
 しかしこれは“本名”ではありません。正体は菜の花などについているアブラムシの一種で、中でも「トドノネオオワタムシ」が代表的です。体長4ミリほどで、白いものはお尻から出る「ろう」です。
 この虫は、不思議な暮らしをしています。ヤチダモとトドマツの樹液しかえさにしません。春から初夏にかけてはヤチダモの樹液から栄養を取り、6月下旬になるとトドマツへ移動します。そして10月中旬になると、またヤチダモへとすみかを変えます。
 しかしこの虫には、もともと羽がありません。どのように移動するのでしょう。
 驚いたことに、移動の時期である初夏と秋にだけ羽が生え、ヤチダモやトドマツの匂いをたどって飛んでいくのです。
 一方、ろうはいつも出しています。羽のない時期は体が水にぬれるのを防ぎ、移動の時期はパラシュートのような働きをして、目指す木を探すためゆっくり飛ぶのに役立ちます。初夏にも白いろうを身にまとって飛ぶのに「雪虫」と言われるのは、冬に比べ数が少なく、私たちの目につきにくいためなのです。
 身の回りには、こんなふうに見過ごしてしまいがちなことや、まだ明らかになっていない不思議がたくさんあります。「なぜだろう」と疑問を持ち、自分で調べる習慣をつけてください。そこから新しい世界が目の前に開けてくるかもしれません。
(道小学校理科研究会・青柳大介=札幌市立円山小教諭)

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