NIEニュース
北海道新聞に掲載されたNIE 関連の記事などを紹介します。

<学びをつなぐ>6*地域と連携*「誇れる古里」を体感

 「熱心に質問しメモを取って…。準備に時間をかけたのがすぐに分かりましたよ」。根室市西端の厚床地区―。国道44号沿いの瀟洒(しょうしゃ)な建物で、美容室「ディアナチュラル」を切り盛りする広瀬円(まどか)さん(43)が、5年前に訪れた“小さな記者たち”の様子を懐かしげに振り返る。
 市立厚床小の3、4年生(複式学級)だった14人が、新聞「厚床てくてく」を作ったのは2009年6月のことだ。地元の商店や食堂など5店を取材。それぞれの場所が分かる地図やカラー写真、営業時間や休日、扱っている商品やメニューなどを載せた。情報に加え、働いている人たちの思いも記事にし、一般紙と同じ大きさの1ページにまとめた。完成までに3週間かかった。
 提案したのは教頭だった中原英雄さん(51)=現釧路管内白糠町立庶路小教頭、日本新聞協会NIEアドバイザー=。「新聞の特長を生かし『誇れる古里』を体感してほしかった。子供って地域とそこに住む人々の中で育つんです」と狙いを話す。中原さんに指示され、取材や編集の指導、印刷などに当たったのは担任で、現在も同校に勤務する五十嵐貴弘教諭(32)だ。
 「読んでもらう人のことを意識して取材し、記事を書く指導に気を配った」という。新聞作りは「地域に発信」が目的の一つだが、北海道新聞などに何度も取り上げられたことで、「地域を発信」する効用をもたらした。
 地元の反響も大きかった。子どもたちの頑張りに触発された住民有志が翌10年、地域紹介のパンフレット「あっとこ界隈(かいわい)」(A3判裏表)を作製した。
 「厚床てくてく」の完成から5年―。新聞のサブタイトル「人が自然を愛する町」を考えつき、ディアナチュラルの広瀬さんから「厚床の人たちの役に立ちたい」というコメントを引き出した高橋怜志君(14)=厚床中2年=は、「大人も読むので難しい漢字を使って記事を書いたことが思い出」とはにかんだ。
 取材先の喫茶店内にたくさん置かれていた観葉植物を「まるで森林浴をしているかのような気分」と表現したのが伊藤虎之介君(14)=同3年=だ。店は数年前に閉じられたが、その直前に級友たちとリコーダーを演奏して店主との別れを惜しんだ。
 2人はディアナチュラルで散髪している。店に掲示しているラミネート加工の厚床てくてくを前に、「あの子たち、こんな立派な新聞を作ったんだから大したもんです」と広瀬さん。高橋君が記事に書いた「すてきな笑顔」で、かつての記者たちをほめた。(葛西信雄)

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