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北海道新聞に掲載されたNIE 関連の記事などを紹介します。

<学びをつなぐ>7*古里を全国へ*酪農テーマに教材作り

 新聞記事をベースに学習指導案を即製する月例学習会が10月、帯広市で2年を終えた。十勝管内の教師が加入する北海道十勝新聞教育研究会の活動の一つだ。指導案は会員以外の教員にも活用してもらえるようインターネット上で無料公開している。
 今年7月には、「酪農王国止まらぬ離農」「生乳需要 世界で高まる中」という北海道新聞の特集記事を使った指導案が7人の教師によって完成した。小学5年~中学2年の「総合学習」を想定し、円安による燃油や輸入飼料の高騰などの国際経済もにらみながら、合議で「酪農がなくなると地域・社会はどうなるか」を考えさせる内容に仕上げた。
 月例学習会のリーダーで、帯広市立西陵中の野上泰宏教頭(52)=日本新聞協会NIEアドバイザー、同研究会副会長=は、自他共に認める「牛屋さん」だ。札幌出身の音楽教師。「酪農の『ら』の字も知らなかった」が、12年前に芽室町立芽室中の総合学習・酪農コース担当になったことがきっかけになったという。
 酪農は農業王国と称される十勝で4割近いシェアを占める。農産物の付加価値を高めるフードバレー戦略の主柱にもなっている。先端研究を担う帯広畜産大のほか乳業、菓子・チーズ、農業機械など幅広い分野の裾野を持ち、「居ながらにして(酪農の)上流から下流を学ぶことができる。何より優れた酪農家が大勢いることが強みなんです」と話す。
 野上教頭が編集責任者を務めた全国組織・中央酪農会議の中学生向け教材「Milk Life(ミルク・ライフ)」がこの春、出版された。道徳などを想定した教材で、「伝えたかったのは命や食、勤労の大切さ」と振り返り、社会とのつながりをテーマにした2年生の章で、自ら指導した「西陵・酪農新聞」の作品を掲載した。
 新聞は、西陵中の総合学習で酪農コースを選択した生徒約30人が市販の編集ソフトを使って作った。B4判。搾乳や給餌、牛舎清掃、アイスクリーム作りなどの体験のほか、牧場主の話を6枚の写真も配置して仕上げている。野上教頭は「体験したことを表現したりまとめたりするのに、新聞作りほど効果的なものはない」と強調する。
 新聞活用とリンクした十勝ならではの教材―。野上教頭が力を込めてこう語った。「古里をじっくり学ぶことで世界を知る。あるいはその逆の視点も育てる。仲間とさまざまなハードルを乗り越え、ノウハウを蓄積し、全国に発信できる優れた教材を作らなければ」(葛西信雄)

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