NIEニュース
北海道新聞に掲載されたNIE 関連の記事などを紹介します。

<学びをつなぐ>11*教師と仕事時間*いとわぬ努力 光る教材

 週53・9時間。経済協力開発機構(OECD)が昨年6月に発表した教師の「仕事時間」で日本は、34カ国中、ダントツの1位だった。一方で、2009年度以降のNIE実践指定校の担当教諭に対して行った北海道新聞の13年度末調査(回答70人)で「社会に関心をもつようになった」(30%)、「学力が向上した」(7%)などの効用を挙げ、実践を継続する教師が少なくなかった。
 長い「仕事時間」をいとわず、NIEと向き合おうとする教師たちがいる。
 日教組傘下の日本私立学校教職員組合に所属する札幌静修高の岡部泰子教諭(48)=国語科=は2年前、授業と放送局指導のほか、13年4月に入学する特進コース1年生を対象に「国語進学講座前期授業計画表」を作成した。全14コマ(1コマ100分)で構成。大学入試の過去問題を解き、レベルの高さを実感させることを手始めとしたが、「新聞活用」に計9コマもの時間を割いた。「とくに読解力と表現力の養成を狙いにした。幅広い情報を得られる新聞は格好の『教材』なんです」と振り返る。
 同校は「朝読書」で週1回、新聞社のワークシートを活用している。NIE実践指定校代表を経験した岡部教諭の提唱で始まり、全校生徒が取り組んで今年4年目を迎えた。授業計画表は、新聞を知悉(ちしつ)する岡部教諭が北海道新聞NIE推進センター委員と綿密な協議を重ねながら練り上げたという。
 見出しや写真の役割をはじめ、紙面に関する基本的な知識を教える同委員の講話を皮切りに、約3千字の長文記事の要約のほか、自ら選んだ記事を基に《1》自分の意見《2》その根拠《3》反対意見(別の視点)《4》まとめ―の四つを柱とする意見文(800字)を書かせるなどのカリキュラムを組んだ。
 甲府市で開かれた日教組第64次教育研究全国集会―。2月7日の日本語教育分科会での発表で、岡部教諭は講座の成果を「自分の言葉で語る『引き出し』が増えた。読む力、書く力アップに手応えを感じている」と締めくくり、大きな拍手を浴びた。
 道教育大教職大学院の水上丈実教授は「岡部先生のように、目の前にいる子どもたちに何ができるのかを考え、教材開発や実践をしている教員が多い。教育現場はこうした教師に支えられている」と指摘する。
 2年に進級した特進コースの生徒たちは昨夏、新聞活用講座で培った表現力を生かしてイラスト入り書評(B4判)を作った。東野圭吾の小説「真夏の方程式」を選んだ生徒は「愛すべき嘘(うそ)と、憎むべき秘密」を見出し風のキャッチコピーにし、訴えたい中身を約千字にまとめた。
 「情報を理解し、自分の考えを他者に伝える。社会で求められる力を、今はひたすらインプットしてやりたい」。岡部教諭のひとみが輝いた。(葛西信雄)

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