NIEニュース
北海道新聞に掲載されたNIE 関連の記事などを紹介します。

<学びをつなぐ>12*5冊のノート*恩師の板書が今も支え

 「知的好奇心の旺盛な生徒でしたよ」。市立士別中学校長の菊池安吉さん(57)=元NIEアドバイザー=がかつての教え子を回想する。教えを受けた道教育大付属旭川中の庭瀬奈穂美教諭(42)も「『きょうの新聞はこれが面白いぞ』なんて言われ、その記事の紹介から授業が始まるんです」と恩師のエピソードを懐かしげに語る。
 庭瀬教諭は1985年から3年間、旭川市立聖園中で菊池さんに社会科3分野(地理・歴史・公民)を習った。今も記憶に残っているのが「元号」の歴史や定義の授業だ。大正から昭和への改元を当時の新聞のコピーなどを使って教えられた。「社会科教員にとって新聞は欠かせないアイテム。それを知らず知らずのうちに分からせていただいた」と振り返る。元号が昭和から平成に改まる際も「(基礎知識があったので)違和感なく受け入れられた」そうだ。
 生徒指導やサッカー部の顧問を務めながら、授業の手を決して抜かない菊池さんを職業選択の手本とした。北大文学部に進み、教員資格を取得した。
 今も、5冊のノートを大切に保管している。「菊池先生の板書はきちょうめんで、きれいでした。3年間、必死に書き写しました」。95年4月、初任校の旭川・広陵中でノートが役立った。学習指導案の作成、さらに実際の授業でも「羅針盤」となって新米教師を支えた。
 旭川では昨年11月に市長選があり、12月には衆院選挙が続いた。学校周辺を選挙カーが行き交い、街頭演説が展開された。中学生も無関心ではいられなくなる。庭瀬教諭は選挙の機会を捉え、主に北海道新聞の地方版から記事を選び出して公民分野の教材として活用した。市長と国会議員の選挙制度や役割の違い、民主主義の根幹をなす投票権の重みなどを教えた。
 「今起きている事象を活字で伝える新聞は、優れた教材になり得るメディアなんです」
 2011年、道北地区小中学生スクラップコンクールが始まった。子どもたちが興味のある新聞記事を切り抜いて台紙に貼りつけ、感想を添えて応募するのだ。4回目の昨年10月には、約500点の作品が集まった。
 審査委員長を務める菊池さんから毎年、「庭瀬先生、今年も頼むよ」と電話が入る。「承知しております」と答え、授業で新聞スクラップについて指導した後、夏休みの課題として教え子に提出させている。
 「戸惑うと、今でも菊池先生のアドバイスを受ける。すべてにおいて、中学の時から変わらない私にとっての先生なんです」。庭瀬教諭の表情が和む。(葛西信雄)

=おわり=

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