「逆上がり」ができないと沈み込んで、ずっとぐずぐずしていた小3の娘が、「明日の休み時間から毎日、おじいちゃん先生に教えてもらう約束をしたの」と、弾んだ声で帰ってきました。まだできてはいませんが……少しほっとしているところです。娘は、何をしても人より遅くいつも自信を持てないで過ごしています。親として、どのようなことに気をつけていったらいいのでしょうか。

回答者 那須野郁子さん(北海道子どもセンター相談員)

  娘さんは、自分に向き合ってくれるおじいちゃん先生(多分、札幌市の有償ボランティア「学びのサポーター」さんかな)に出会ったことがきっかけで、大丈夫かもしれないと一歩踏み出す勇気を持ったのでしょう。小3くらいだと、逆上がりは鉄棒に慣れることと、こつを覚えるようになると、すぐにできるようになることが多いです。
 いつも鉄棒のそばでもじもじしている娘さんが、物事をいいかげんにしない頑張り屋さんだなと見えたのでしょうね。娘さんの練習を見守り、「あなたの頑張りは素晴らしいよ」とメッセージを送り続けてくれるのですから、娘さんは安心して練習ができているのです。きっと、少しずつ自信もわいてきていると思います。ここで大切なことは、おじいちゃん先生との関わりで娘さんの良さが引き出されたことです。
 一つの行動も見方によっては全く捉え方が変わります。のろのろしている子はおおらか、落ち着きのない子は好奇心がいっぱい、怒りんぼうは自己主張のできる子、いたずらっ子は発想が豊か、引っ込み思案は慎重に物事を考える子。マイナスに見えることもプラスに捉えることができるのです。
 他者との競争や比較に惑わされることなく、わが子の良さをわかってあげることが一番大事と言えます。おじいちゃん先生が気づいたように娘さんが物事をいいかげんにしないで頑張る人だということを、広く先生や友だちにも知ってもらえたらよいですね。
 発達や成長にはたくさんのでこぼこがあるものです。これからも、いろいろなことにぶつかると思いますが、今まで通り寄り添い、ふれあい、語り合って娘さんの成長をゆっくり見守ってあげてください。

 なすの・いくこ 北海道子どもセンター相談員。元小学校教員。1945年、石狩市生まれ。

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