卒業を前に「将来の夢」を考えています。私はずっと小学校の先生になりたいと思ってきました。私にとって学校は、とても楽しく、困った時にはいっしょに考えてくれる先生や友だちがいたからです。でも母は「先生の仕事は大変よ」と言います。どうしたらいいのでしょうか。

回答者 太田一徹さん(北海道子どもセンター研究員)

  すてきですね。あなたのような人が先生になってくれたら、学校に通う子どもたちにとっても、これからの学校にとっても、大きな力になると思います。
 さてお母さんの心配のことです。あなたも感じていると思いますが、実は学校は毎日楽しいことだけではありません。けんかやトラブルがあったり、家庭での大変さを抱えた子もいます。いじめがあったり、不登校になる子も増えてきていますね。
 あなたはまだ小学生ですが、将来いっしょに働く仲間かもしれないと思って言うと、今の先生はけっこう忙しいのです。「次から次にしなければならないことが押し寄せてくる」「一番やりたい授業の準備や子どもたちとのふれあいが後回しになる」という声を先生方から聞きます。お母さんは、将来あなたが苦労することを心配しているのでしょう。
 でもそんな時代に、あなたは「学校は楽しい」と感じ、「いっしょに考えてくれる先生や友だちがいた」から困ったことも越えられ、「先生になりたい」と思えるほどの喜びや充実感を経験してきたのですね。あなたの出会った先生や友だちは、楽しい毎日をつくってくれたのでしょう。
 私は先生という仕事は、子どもという一人一人違った人間と関わり、一緒に生きていけるすてきな仕事だと思います。勉強の苦手な子が「わかった!」と叫ぶ笑顔に出会ったり、生活や行動で大変だった子がゆっくりだけれど確かに成長する場面に立ち会えた時など、子どもの成長と自分の成長・喜びを重ね合わすことのできるやりがいのある仕事です。
 あせって結論を出す必要はありません。ゆっくり考えたらいいです。これからいろんな経験をしてください。そして学校で友だちや先生と一緒に体験した喜びや充実感、楽しい毎日を覚えていてください。そうすればあなたはきっと良い先生になれるでしょう。

 質問は過去の相談事例や投稿を基に再構成しています。