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北海道新聞に掲載されたNIE 関連の記事などを紹介します。

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家庭で気軽にNIE*はがき新聞作ろう*「短い文章で伝える」学習に*池田圭子・南中音更小教諭

 各地の学校では、新聞がさまざまな形で教材として使われたり、学級新聞や壁新聞作りも行われています。こうした取り組みは、この「NIE(教育に新聞を)のページ」(毎月最終月曜)で紹介していますが、家庭でできるものもあります。新聞を活用した授業の経験が豊富なNIEアドバイザー(日本新聞協会認定)を務める小学校の先生方に、小学生にもできて教育上の効果も期待できる新聞活用法や手軽な「はがき新聞」の作り方を聞きました。特別紙面で紹介します。冬休みに皆さんも「家庭版NIE」をやってみませんか。

池田圭子・南中音更小教諭

池田圭子・南中音更小教諭

 かべ新聞や学級新聞だと手間や人手がかかる。作文は単調で味気ないという声もあるかもしれません。そんな教育現場で、手軽に実践されているのが「はがき新聞」です。見出し、文章、写真などではがきを彩れば、子どもに魅力ある教材になり、家庭でも作れます。十勝管内音更町立南中音更小の池田圭子教諭(47)は「短い文章できちんと伝える」児童の学習で有効に使っています。
 「さあ昨日の新聞コラージュづくりについて工夫や気に入ったところをまとめてみましょう」
 11月30日。3、4年生の複式学級で担任の池田さんが児童4人に言ったのは、新聞紙をちぎり絵のように加工した前日の体験会のことでした。住民の手ほどきで児童は台紙に貼り付け、トンボやニワトリなどの絵を完成させました。
 その体験会の感想がはがき新聞づくりでのテーマになったのです。池田さんは「何を伝えたいか。さらに伝える相手を意識します」とポイントを話しました。
 具体的には《1》文章を読む人が関心を持ったり、読みたくなったりする見出しを付ける《2》完成後は筆者が読み上げ、ほかの3人が気づいた感想を述べ共有する―などの助言をしました。

「水色めがね」吉田詠喬(うきょう)君

「水色めがね」 吉田詠喬(うきょう)君

「楽しいコラージュ」真柄胡幸さん

「楽しいコラージュ」真柄胡幸さん

「体験でニッコリ」渡辺心翔(まなと)君

「体験でニッコリ」渡辺心翔(まなと)君

「体験でニッコリ」渡辺心翔(まなと)君

「体験でニッコリ」渡辺心翔(まなと)君

 唯一の3年生、真柄胡幸(こゆき)さんは「作文は嫌い」と言いますが、はがき新聞は「色を塗るのが好き」なので、懸命に色鉛筆でこの日一番先に仕上げました。題字の「ジュエリー(宝石)」の近くに見出しで「楽しいコラージュ」と付け、ニワトリの羽の色を工夫したことを発表しました。ほかの4年生男子3人は「工夫が分かった」「大変そうだったが、すごい」と後輩の頑張りをたたえます。
 今回のはがき新聞のサイズは低学年向けの専用の用紙が使われました。郵便はがきより一回り大きく、約220字のマス目のスペースは字以外の見出しや写真や絵、吹き出しなどに使うのも自由です。全体を70%に縮小すれば、はがきの大きさになり、はがきに貼って郵送もできます。
 池田さんは12年前から、はがき新聞に取り組み、普及を進めてきました。3校目になる今の小学校で週1回朝15分、はがき新聞づくりを指導します。全校児童は10人。「今、校内では『あうんの呼吸』で通じるが、大きい学校に行った場合に備え、言葉でしっかり伝えられるようにしたい」
 はがき新聞にかける情熱は児童への池田さんの愛情の証しなのです。

 はがき新聞は理想教育財団(東京都港区)が約10年前から普及を目指しています。全国の教諭47人が在籍する研究会が実践報告や教材開発などを行います。専用の原稿用紙は学年や用途別に12種類あり、申請があれば小中高の教諭などに提供しています。問い合わせは同財団(電)03・3575・4313へ。


*見出し当て、写真集め、言葉探し*紙面を楽しく活用

早来小の授業で使ったワークシートのイメージ(実際に載ったせりふは、紙面のどこかにあります)

早来小の授業で使ったワークシートのイメージ(実際に載ったせりふは、紙面のどこかにあります)

 はがき新聞以外にも、小学校ではさまざまな取り組みがなされています。
 「さあ、せりふを考えて書き込んでみよう。なぜそのせりふにしたか理由も書いて」。今月15日、胆振管内安平町立早来小5年1組で行われた国語の授業で、担任の冨樫忠浩教諭(43)が呼び掛けました。机には、北海道新聞朝刊に連載中の4コマ漫画「ねえ、ぴよちゃん」を使ったワークシート。すぐ書く子もいれば、考え込む子もいます。
 冨樫さんは「4コマ漫画は起承転結の構成になっていると習ったね。せりふを考えるこつに気付いた人は?」との質問に、子供から「転は結の引き立て役」との声が上がりました。4コマ漫画を使う学習では、このほか《1》コマをばらして順番を考える《2》題名を付ける《3》作文に直してみる―などもできます。
 冨樫さんが新聞活用で力を入れているのは、見出しを伏せた記事を読ませて、見出しを考えさせる学習。考えてから実際に載った見出しを見せると子供たちは感心するそうです。
 せりふや見出しを考える学習で最も重視するのは、なぜそうしたかの理由です。根拠を明確にして自分の考えを言葉にする練習は、学力向上につながるからです。「せりふや見出しを隠して、子供に考えさせれば家庭でもできます」
 新聞は多くの情報がさまざまなスタイルで載っているので「集める」「探す」学習ができます。宗谷管内利尻町立沓形小の高橋正一教頭(51)は「写真を切り抜いて集めてみては」と、視覚から親しむことを勧めます。新聞には冬の風景、動物など美しいカラー写真がよく載っています。それをノートに貼り、感想を書くのは低学年でもできます。高学年なら、住んでいる振興局管内の全市町村の記事を地方版から集めてみるのはどうでしょう。
 このほか新聞のあるページを決め、そこから習った漢字を探す、カタカナ言葉を探すなどもできます。「『3分間で何個見つかるかな』などと、家庭でゲーム感覚でやるといいです」
 根室管内中標津町立俵橋小の中原英雄校長(54)は身近な記事が載る地方版を重視します。「知っている場所や知人も載るし、酪農など学校で学んだ地域の産業も載る。そうした記事を基に親子で会話してみては」と提案します。

【実際に載った4コマ漫画のせりふ】
 A―牛乳(ぎゅうにゅう)が苦手(にがて)で B―お魚(さかな)が苦手で C―給食じゃ量(りょう)が足(た)りなくて(北海道新聞2017年12月12日朝刊)


ぶんぶんtimeロゴ

*紙面に載ると自信つきます

 新聞には、読者が自らの意見を発表する投稿欄があります。北海道新聞は1997年、未来を担う若い人たちの声を紙面に反映させようと、「読者の声」欄に小中高生のためのコーナー「みらい君の広場」を設けました。
 開始から20年の節目を迎えた今年3月、「みらい君」を「小中高生の文でつくる新聞 ぶんぶんtime(タイム)」(毎週月曜朝刊)に一新。独立したページとし、文章を横組みにして作品ごとに囲むなど、読者の目にとまりやすいように工夫しました。さらに1週間当たりの掲載数を1点増やして7点としました。
 紙面刷新後の投稿は順調に伸びています。本年度上半期に寄せられた作品数は約3900点と前年同期の1.5倍になりました。
 新聞への投稿は「作文力を養える」「紙面に掲載されることで自信がつく」といった教育的効果が期待されます。学校からの応募が大半ですが、個人での投稿もあります。
 「ぶんぶんtime」は題材自由とテーマ編があり、字数はいずれも300~400字。応募は、住所、氏名(ふりがなも)、性別、学校名と学年、電話番号を必ず記入し、〒060・8711(住所不要)北海道新聞社NIE推進センターへ。北海道新聞NIEホームページ(http://nie.hokkaido-np.co.jp)で最近の掲載作品を見られるほか、応募用の原稿用紙を印刷できます。


*記事読んで意見交換*新聞協会がコンクール

 新聞を読むことで社会への関心を高め、考えをまとめて表現する力を培ってもらおうと、日本新聞協会は毎年、小中高生と高専生を対象に「いっしょに読もう!新聞コンクール」を実施しています。
 コンクールは、興味を持った新聞記事を切り抜いて専用の用紙に貼り、《1》選んだ理由や読んだ感想、《2》家族や友人にその記事を読んでもらい、一緒に話し合った内容、《3》それを踏まえての自分の意見や提言―を記入して応募します。
 12月9日に表彰式が行われた第8回コンクールには、道内660編を含め、全国から4万7千編を超える応募がありました。このうち小学生の応募は約6500編に上りました。かつてコンクールに取り組んだ経験がある教師は「学校で学んだことが生きた知識となっているかを確かめる上で、新聞を読むのは有効」と話しています。
 現在募集中の第9回コンクールは、9月8日から来年9月9日までの新聞記事が対象で、締め切りは同9月10日必着。現在、小学6年と中学3年は進学後の4月以降に応募してください。高校3年、高専5年は対象外で応募できません。
 応募は個人でも学校・学年・学級単位でも可能です。応募用紙の入手を含め、詳しくは日本新聞協会NIEホームページ(http://nie.jp/)をご覧ください。問い合わせは、北海道新聞社NIE推進センター内の北海道NIE推進協議会事務局(電)011・210・5802へ。


*「北海道NIE研究会」・斉藤拓也副会長*新聞活用 親も関わって

斉藤拓也副会長(55)=札幌市立月寒小校長=

 家庭で新聞に親しむことは、学校の学習に役立つのでしょうか。小学生には難しいとも思われる新聞にどう関わればよいのでしょうか。学校での新聞活用を研究する教員の団体「北海道NIE研究会」の斉藤拓也副会長(55)=札幌市立月寒小校長=に聞きました。
 新聞は学力を上げる特効薬ではありません。ただ新聞に触れることは、知ろうとすること、考えること、表現することにつながります。論理的な思考力や説得力ある話し方を身に付け、結果的に学力が付いてくるのです。
 新聞は小学生には難しい―。その通りですが、大人にとってもやさしいものではない。社会には難しい事がいっぱいあるからです。新聞で言葉のシャワーを浴びて、最初はうすぼんやり分かるで十分。いつか「こういうことか」とすっきりする時がきます。
 小学生だけで新聞を活用するのは難しいので、親が関わってほしい。たとえば子供に「新聞係」を命じます。新聞受けから新聞を持ってきたら「今日の天気はどう?」と聞きます。天気予報欄の見方が分かると「下校の頃は雨だな」と本人の身支度にも役立ちます。
 家庭では子供の手の届く所に新聞を置いておく。親が読んでいる姿を見せる。子供が読んでいたら「何見ているの」と話しかけ「どう思う?」と会話につなげる。インターネットだと、親子での情報共有は難しい。新聞はコミュニケーションの道具になり得ます。スマートフォンやタブレットだと子供が何を見ているかよく分かりませんから。
 新聞は使える所から使えばいい。運動をやっている子はスポーツ面から開く。記事が難しければ写真1枚から話せることもある。子供は大人以上に写真から情報を読み取ろうとします。写真の説明文を読んであげるだけで十分です。4コマ漫画は起承転結の構成で論理的。今の社会問題を取り上げることも多い。
 書く学習として新聞作りがありますが、はがき新聞の利点は子供が「このスペースを埋めればいい」と安心する点です。子供は見通しが付くと動き始めます。また作文などの投稿は、掲載時の周囲からの反応が大変な励みになります。
 新聞は1面の記事一覧の充実など昔より親切になりました。各紙が発行している子供向け新聞は、タブロイド判でサイズがちょうど良いし、関心を持たれる工夫もされています。デジタルの世界に生きている今の子供たちに、アナログの良さを教えてあげてほしい。

 この特集はNIE推進センターの小田島玲、山口恭司、森田一志が担当しました。

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