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北海道新聞に掲載されたNIE 関連の記事などを紹介します。

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個性きらりスクラップ 貼って飾って作品に(2の1)

 新聞を手にして、気になったり興味を持ったりする記事や広告を切り抜くスクラップ(切り抜き)。資料作りとしてのスクラップが一般的だが、教育現場や新聞社主催の行事で、こうしたスクラップを使って作品に仕上げる取り組みが行われている。「新聞スクラップ」と呼ばれるこの取り組みは、子供たちが新聞に親しむきっかけになり、教育的効果も期待される。作品の特徴、作り方、作ってみての感想などを紹介する。

*新聞記事 テーマ決め収集*1枚型

 1枚タイプの過去の作品を見ると、テーマはさまざまだ。
 JRの記事を集めた「どうなる!北海道の鉄路」「さよなら増毛駅新聞」や、食べ物の記事が並ぶ「冬だってごちそういっぱい」。「各国政治の今について」や「熊本の現状 相次ぐ地震」は重要なニュースに正面から取り組んだ。「気になるニュース」といったノンジャンルの作品もある。
 用意したいろいろな新聞を開いて記事を探すところから始めて、完成まで2~3時間のものもあれば、普段から興味ある記事の切り抜きをこつこつためて作ることもできる。テーマを決めてから記事選びにかかってもいいし、切り抜きながらテーマを考えてもよい。個人で作るのがほとんどだが、グループで取り組んでもよい。
 道外では長野県、愛知県、大分県などで新聞社主催のコンクールが実施されている。


*旭教大生が挑戦*「将来、授業で使える」

「記事をこう置いて、コメントはここに」。楽しげな学生の作業に、菊池校長(中央奥)の表情もほころぶ=昨年12月2日、道教大旭川校

 教師を目指す大学生らが新聞スクラップを体験した。NIEに長年取り組んでいる旭川市立神居東中の菊池安吉校長らが北海道教育大旭川校で年2回実施するNIE講座として、昨年12月2日に行われた。
 社会教育学ゼミの1~4年生約30人が出席。授業で使うことを想像しながら、4、5人の班ごとに模造紙半分サイズ1枚の作品を仕上げた。新聞スクラップは個人で取り組むことが多いが、今回は時間の関係でグループ活動としたので、学生たちは「見出しは『なまら神ってる北海道』がいいよ」など楽しげに会話しながら作業を進めた。
 掲げたテーマは「日本に関わる外国人」「教育」「米大統領に当選したトランプ氏」などから「日ハムファイターズとコンサドーレ」まで幅広い。菊池校長は「同じ時期の新聞、同じ記事を使っても新聞スクラップにはそれぞれの個性が出る。開いて見て発見がある。新聞にはそんな力がある。将来、ぜひ授業に活用してほしい」と話した。
 2年生の稲葉まいさんは「2時間足らずでグループ内の人と交流できていろいろな意見も聞けた。実際の授業でもまとめ学習など、さまざまな場面で絶対に使えると思う」と振り返った。このほか「子供の関心を引くのに良い教材だ」という声もあった。
 菊池校長とともに指導にあたった士別小の大武敦史教諭は「新聞スクラップは、小さいサイズにすれば小学校低学年でも45分授業2コマでできる。今後に生かしてほしい」と呼びかけた。


*感想、イラスト 自由にデザイン*中学生

初めて作った1枚タイプの作品を持つ木本愛咲さん。付箋やマスキングテープをアクセントに使った

「冬」を共通テーマにした地本茉椰さん。得意のイラストが楽しい

 中学生に1枚タイプの作品を作ってもらい、感想を聞いた。
 ふだんはノートタイプを作っている旭川市立神居東中2年生の木本愛咲(きもとあみさ)さんと地本茉椰(ちもとまや)さんは初めて1枚タイプに挑戦した。
 昨年12月3日、北海道新聞旭川支社で、2人は数日分の北海道新聞をめくって記事を選び、模造紙の半分サイズの紙に配置してイラストやコメント、見出しを書き入れる。「もっと書き込みたい」と言いながら、約90分で仕上げた。
 木本さんは「わっくわく!Xmas」と題してサンタクロースの広告企画記事に注目した。「ノートタイプと違って、複数の記事の組み合わせてコメントを自由にたくさん書けた。私はこっちの方が楽しい」と話す。
 一方、地本さんは「ドカ雪」「イルミネーション」「ケーキ」など冬をキーワードに記事を切り抜き、かわいらしいイラストで飾った。「1枚タイプも楽しかったけど、やり方は全然違う。私はノートの方が作りやすい」と、感想は対照的だ。
 札幌市内の中学生4人は12月4日、北海道新聞本社で約2時間かけ、それぞれ1枚タイプを作った。
 桝田雄人(ますだゆうと)さん(道教大付属札幌中1年)は、JR留萌線の廃止を意識して道内の鉄道についての記事を組み合わせた。新聞スクラップは初めてという桝田さんは「コメントとして自分の意見を書くのが難しかった」と話す。
 米国大統領に当選したトランプ氏の発言に興味を持って世界各国の政治の記事をまとめた正木愛子(まさきあいこ)さん(中央中2年)は「思ったより大変だったが楽しかった」と振り返った。


*社会に関心 子供伸びる

関口修司NIEコーディネーター

 小学校教師として長年NIEに取り組んできた日本新聞協会の関口修司NIEコーディネーター(61)に、スクラップの教育的効果について話してもらった。

 東京都内の小学校で校長を務めた12年の間、NIE活動の中で、子供が一番伸びたのが新聞スクラップだった。
 小学校の全学年で毎週1回、朝にNIEタイムという時間を設け、ノートタイプの作品作りを1年間続けた。毎回1ページ作ると1年で40ページの作品ができる。
 4月の開始時と1年後を比べると、子供が書き込む感想に漢字が増え表現力や言い回しが豊かになった。書く量も増え社会に対する興味・関心が広がった。学力が伸びたということだ。
 当初は新聞記事を「文字がいっぱいあって気持ち悪い」と言っていた子たちが、3、4カ月たつと「面白い記事見つけたぞ」「どれどれ」と言うようになる。文章に対する抵抗感が消えた。
 低学年の子は好きな写真と見出しを貼り感想を書くことから始める。当初は多くの子が「すごい」とだけ書くが、先生が「どうしてすごいと思ったのかな」と問いかけていくと、理由や背景を書くようになり「すごい」以外の形容詞や形容動詞も使うようになる。
 新聞スクラップは学校で教えるのをきっかけに、家庭で親も交えて取り組むのが理想だ。そんな時こそお父さんやお母さんが、記事に書かれた世の中のいろいろなことについて、うんちくを語ってほしい。

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