僕のうちの仕事は酪農だ。僕は仕事をあまり手伝わないが、子牛を見るのは大好きだ。僕のお気に入りの子牛は、黒が多い模様でオスだった。同じ男同士、楽な気持ちで話しかけていた。
 ある日、大事なものが見つからず、イライラしながら子牛に話しかけた。子牛は僕を見て「べー」と鳴き、服をなめようとしていた。僕は、イライラを忘れて家へ戻った。冷静になって辺りを見回すと、捜し物が見つかった。僕にとってこの子牛は、悩みを相談したりその日の出来事を話す友達になった。
 僕は今日も牛と話す。そのつもりで学校から帰って、いつものように家に入る前に子牛のいる場所へ向かった。
 いない。今日はオス牛の移動の日だ。子牛は、遠くの育成牧場に行ってしまった。
 僕は、言葉をのみ込んだ。