誰でも「ありがとう」と言われると、うれしいものだ。それは外国人に言われた時もそうである。以前、私はそれを体験した。
 根室の親戚の家に泊まった帰りの列車に、一人の外国人が乗っていた。ようやく終着の釧路に着いた時、外国人は爆睡中で誰も起こそうとしなかったので、私が肩を揺さぶった。目覚めた外国人は荷物をまとめ、席を立って片言の日本語で言った。「アリガトー」
 聞き慣れている言葉なのに、なぜかとてもうれしかった。うれしかった理由は、いまだによく理解できてはいないが、国を超えた貴重な体験をさせてもらった。
 見知らぬ外国人さん。貴重な体験と貴重な時間を与えてくれて「ありがとう」。