「今日も味がしない…」。これは私が数年前、1カ月間思い続けたことです。調味料の濃い味付けはわずかに感じるものの、うま味や食材の風味は一切分からない。おいしいものが一つもない。大好物のハンバーグとブロッコリーさえ食べる気になれず、ほぼ毎日毎食が無味の世界でした。
 元々野菜には何もかけずに草食動物のごとく、私はむしゃむしゃ食べるのが大好きで、野菜本来の味を愛している。そんな自分が消えてしまったのは、所属する劇団の先輩が卒業し、約20人の仲間をまとめるリーダーになり、その責任で心が助けを求めた結果、なぜか舌が臨時休業に突入したからだと思っています。
 幸い過度なプレッシャーからの解放と同時に味覚も戻り、おいしく食べられる日々が続いています。好物を「おいし~!」と思えるのも心の健康あってこそ。その尊さとありがたみを感じた1カ月でした。