NIEニュース
北海道新聞に掲載されたNIE 関連の記事などを紹介します。

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「生きる力」育む教育考える*宇都宮、帯広で全国大会

 教育に新聞を活用するNIE活動の推進を促す全国大会が今夏、宇都宮市と帯広市でそれぞれ開かれた。宇都宮での第24回NIE全国大会(1、2日、日本新聞協会主催)のスローガンは「深い対話を育むNIE」。2020年度以降に実施される次期学習指導要領は「主体的・対話的で深い学び」を掲げており、自ら学び、考えて行動する「生きる力」を育む教育を、市文化会館を主会場に実践発表や公開授業などから考えた。これに先立ち、帯広で開かれた第62回全国新聞教育研究大会北海道十勝・帯広大会(7月30、31日、全国新聞教育研究協議会など主催)でも新聞を教材として使うことの有用性について理解を深めた。

*宇都宮・NIE大会*「食品ロス」児童が公開討論*法律成立の記事きっかけ

食品ロスの記事を基に討論する作新学院小学部の児童

食品ロスの記事を基に討論する作新学院小学部の児童=2日

 食品ロス解決策の一つとして、飲食店での食べ残しを持ち帰ることに賛成か反対か―。宇都宮市の私立作新学院小学部は、新聞記事を題材として、意見交換しながら社会的な課題に向き合うディベートの公開授業を大会会場で行った。
 6年生18人が、賛成派7人と反対派11人に分かれて向かい合い、自分なりの言葉で意見を述べ合った。「持ち帰ると食べ物の味が落ちたり、腐ったりするかも」「問題が起きたとき責任を問われるから、店側にメリットはあまりない」と反対派は鋭く指摘した。
 一方の賛成派も、負けじと「持ち帰って大丈夫な物をメニューなどにあらかじめ書いておけばいい」「ドギーバッグ(持ち帰り用容器)の使い方を多くの人に知ってもらう努力をすべきでは」などと反論した。
 同校のディベートのルールでは、相手の意見に納得した人が最後に立場を変えられる「引っ越し」がある。この日は、優勢に見えた反対派のうち男子3人が、神妙に椅子を抱えて賛成派陣営へ。会場が笑いに包まれた。「持ち帰る際に保冷剤を入れたり、(料理の)量を少なくできるなど店のメニューを工夫したりする」という賛成派の意見に説得力を感じたそうだ。
 同校ではNIEを社会科で実践。授業後、小学部の八島禎宏副部長は「食品ロス削減推進法成立の記事が今回の題材だったが、給食の残飯問題などで子どもにも身近な問題だった」と報告した。
 「日常生活の中では勝敗より折り合いを付けることが大切」という理由で「引っ越し」ルールを設けたと説明。「読解力や表現力が付いただけでなく、相手の意見で納得できる点は受容するという、精神的な成長につながった」とまとめた。

*宇都宮の小学校教諭報告*発達に応じて活用 「書く能力」伸びる

NIE全国大会で発表する堀内多恵教諭

NIE全国大会で発表する堀内多恵教諭=2日

 新聞を日常的に児童の学びに生かすには、どのような取り組みが有効なのか。全校でNIEに取り組んでいる宇都宮市立豊郷中央小の堀内多恵教諭(41)が、児童の主体的な取り組みによって、着実に成果を上げている状況を発表した。
 同小では、NIE活動を児童会組織の中に位置付け、児童自らが率先して行う活動を目指す。5、6年生の各クラスから3人ずつ計24人の児童による「ニュース委員会」を設置。ニュース委員は毎朝、皆が新聞を自由に手に取って読めるように「新聞コーナー」に置き、気になるニュースは切り抜き、記事の要約・感想を添えて掲示する。
 昼の校内放送では、週に1回、ニュース委員が社会の出来事と豊郷中央小の今を伝えるニュースを発信。秋にはニュース委員が全校児童集会の企画・運営を行い、新聞からの「見出し連想クイズ大会」や、新聞スクラップ作品の発表会などを行ったことが紹介された。
 授業では、発達状況に応じて段階的な取り組みを行っているとし、低学年では、新聞記事の中から自分の名前に使われる平仮名を探すなど、新聞に親しむことを主眼にしていると説明。中学年では新聞の見出し、本文、写真の役割などを考えさせ、高学年では全国紙と地元紙の読み比べをさせているという。
 また、月曜朝の15分間を全校的に「ニュースタイム」として、新聞記事やコラムを要約し、感想を書く活動を継続的に行ったことを発表した。
 こうした取り組みにより、全国学力・学習状況調査(全国学力テスト)では、国語の「書く能力」の正答率が全国平均を大きく上回ったとし、NIEへの取り組みで大きな成果が達成されたと結論付けた。

*帯広・新聞教育研究大会(北海道セミナー)*元高校教諭・作家 宮本延春さん講演*肯定的に子ども評価を

自身の経験を交えながら、子どもの自己実現について話す宮本延春さん

自身の経験を交えながら、子どもの自己実現について話す宮本延春さん=7月30日

 帯広市のとかちプラザで開かれた「第62回全国新聞教育研究大会北海道十勝・帯広大会」では、全国各地から参加した教諭による実践報告や十勝管内の教諭による公開授業のほか、元高校教諭で作家の宮本延春さんが「オール1の落ちこぼれ、教師になる~子どもに笑顔を~」をテーマに記念講演した。宮本さんは、子どもたちの自己実現に向け、肯定的な評価で子どもたちを見つめることの大切さを訴えた。講演の要旨を紹介する。(坂本尚之)

 私は父と母の3人家族で育ちました。一人っ子は家庭内で争いごとを経験しません。学校でいじめを受けていた私は、なるべく目立たないようにしました。授業では「先生、当てるな」と思っていました。
 16歳のとき母が、18歳のとき父が亡くなりました。わが家は親戚づきあいがありません。天涯孤独です。
 建設会社で働き始めて、大恩人となる親方に出会いました。本当に気に掛けてくれました。人との関係はキャッチボールと同じ。親方に恩返しがしたいと思い真剣に働きました。そんな時、偶然テレビで見たアインシュタインの番組で、物理学、相対性理論に興味を持ちました。何冊か本を読むと、物理学は「数学語」という言語で書かれていることが分かった。私は23歳まで九九が「二」の段までしか言えなかったので、小学3年の算数から勉強を始めました。

*   *

 なぜ九九も分からない人が相対性理論を理解したいと思って大学進学を目指せるんですかと聞かれることがありますが、人の欲求には段階があります。「欲求段階説」です。最初の欲求は「生理的欲求」です。おなかが空いた。眠たい。これが満たされると、安全な状態で生活したいという「安全の欲求」。次いで「所属と愛の欲求」「評価の欲求」が生まれます。これらが十分に満たされて最後に生まれるのが「自己実現の欲求」です。
 私は親方と出会って前段階の四つの欲求が満たされた結果、九九も分からないのに相対性理論を理解したいという自己実現の欲求が生まれました。

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 人を評価する方法は3種類あります。「doing」「having」「being」です。良いことをしたか、悪いことをしたかで評価する「doing」。地位、財産、肩書など持っているもので評価する「having」。世の中だいたいこの二つで評価されます。
 ところで、あなたにとって最も大切な人の最大の価値は何ですか。生まれたばかりの赤ちゃんで考えてみましょう。「doing」何もできない。「having」もれなく、すっぽんぽんです。生まれたばかりの赤ちゃんをこの二つで評価すると、「そんなに価値ないよ」になってしまう。ところが「being」で評価すると、「いてくれることが最大の価値」になります。子どもの自尊心が本当に満たされる時というのは、「being」自分が自分でいるだけで愛してもらえるときなんです。
 子どもの自己評価と他者評価は表裏一体です。家庭や地域の人から○をたくさんもらえた子は、自分自身にたくさん○を出します。×をたくさん出された子は、自分自身に×を出します。私が学校から受けた評価はオール1です。私は自己否定の塊だった。
 事実は一つ、見方は二つ。○で見るか、×で見るかです。「doing」と「having」は、○を探して伝えてあげてください。

 大会は2日間で延べ400人が参加。北海道NIE推進協議会(北海道新聞社を含む報道13社などで構成)する「第5回北海道セミナー」を兼ねて開かれた。

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