NIEニュース
北海道新聞に掲載されたNIE 関連の記事などを紹介します。

NIEのページ

Page of the NIE

長崎・活水女子大 1年生全員が新聞購読*社会問題、多様な見方知る*グループ討議やスクラップも

 長崎市の活水(かっすい)女子大学は、1年生全員に自宅での新聞購読を義務化している。本年度は約310人が新聞に目を通し、必修科目の授業で記事を基に討議したり、スクラップ(記事切り抜き)に取り組む。新聞に触れることで、社会の問題をより深く知り、さまざな意見や見方に触れるのが目的だ。(森田一志)

 新聞を活用する必修科目は、「シチズンシップ(市民権)」と「教養セミナー」の二つの授業。シチズンシップのテーマは「地方選」や「税金」「福祉」「女性と就労」など多岐にわたり、学生は入学後から7月まで15回受講する。

*記事を教材に

学生のグループ討議を指導する石川由香里教授(左)。時には同じ女性目線での助言も

学生のグループ討議を指導する石川由香里教授(左)。時には同じ女性目線での助言も

 6月3日の授業のテーマは「子どもの貧困」。担当の石川由香里教授は、内閣府の白書の相対的貧困率のグラフから、貧困が母子世帯などに多い現状を確認させた。さらに朝日新聞新潟版の記事を教材に、新潟県内の無料の学習塾の事例や2014年度に施行した子どもの貧困対策法の意義に触れた。
 その上で学生らが地元長崎での貧困対策をテーマに、グループ討議を行った。各グループは討議結果として、教育支援として「子どもが分からない授業は先生を増やす」、福祉機関との連携では「子ども食堂と情報を交流」などを発表した。
 教養セミナーはシチズンシップと連動する形で、学生が興味を持った新聞記事を年間160本切り抜いてスクラップブックに貼り、感想を書き込む。担当の阿南祐也准教授は、授業でスクラップの進み方を確認し、後半からは学生一人一人がテーマを絞り、最終的にはリポート作成へ移行する。「各自が興味を持った記事を基に過労死、保育所などさまざまなテーマを選びます」

コメントをびっしり書き込んだスクラップブックを手にする吉野悠花さん

コメントをびっしり書き込んだスクラップブックを手にする吉野悠花さん

 吉野悠花さん=健康生活学部子ども学科1年=は、養護教諭の資格取得を目指しており、スクラップは主に子どもの記事などを集めている。長崎県諫早市で両親と同居し、自宅で購読する西日本新聞を切り抜いている。「いろんな人がそれぞれの視野を持ち、講義では多くの意見を聞けていい」と授業の成果を話す。
 同大の購読義務化は、カリキュラム改革に伴い2014年度から始まった。目的について石川教授は、デジタル世代の今の学生が、文章を読む機会が昔より少なく、なんとかしたいとの考えからと話す。「批判的な視点で読んだり、複数紙を比べ読みしたりするようになってほしい」と期待する。

*読解力も向上

 親と同居し自宅から通う学生は、自宅で購読している新聞を読むことができるが、親が購読していない学生や親元を離れて暮らす学生は、自費で購読することになる。大学によると、入学前に購読義務化の趣旨を学生の両親らに通知し、承諾を得ているという。年度初めに県紙や全国紙など6紙の地元担当者を招き、1年生全員の前で自社の新聞について説明してもらい、購読する新聞を選ぶ。学割を活用しても月額最低2千円の出費になる。
 阿南准教授は「記事を読むだけでなく、背景を調べたりグループで討議することで、多様な視点で物事を捉えられるようになった。読解力も付いてきている」と効果を話している。

ページ上部へ