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「深い学び」導く授業*本年度NIEセミナー日程終了

 新聞を活用した授業の研究発表の場であるNIEセミナーが、2018年度の全日程を終えた。地区セミナー9カ所と、全道規模の北海道セミナー(札幌)の計10回。このうち9月6日に予定されていた日胆地区セミナー(日高管内新ひだか町)は、当日発生した胆振東部地震で中止になったが、内容を一部変更して2月に代替開催した。セミナーを主催する北海道NIE推進協議会(道内の新聞社・通信社13社加盟)の高辻清敏会長(79)に、公開授業を中心に振り返ってもらった。(坂本尚之)

2018年度NIEセミナーで行われた公開授業

 

*講評*高辻清敏 北海道NIE推進協議会会長*写真や図から読み解く 記事内容を英語で要約

高辻清敏 北海道NIE推進協議会会長

 新しい教育活動に向けて、教育現場が動き始めている。
 本年度のセミナーでは、授業改善の有効な手法として期待され、2020年度の小学校から始まる新学習指導要領に盛り込まれる「主体的・対話的で深い学び」(アクティブ・ラーニング)に結びつける内容や、「活用力の育成」を目指し写真や図、グラフといった非連続型テキストを活用した授業もあった。中学校で行った英語科の公開授業は新規性を感じさせた。開催校別に振り返る。
 非連続型テキストを活用した公開授業は2校で行われた。旭川東高は記事の写真部分だけを用いた。授業では、生徒に写真から記事内容を推測させた後、記事を持つ教諭らに質問させて内容を引き出す―という過程を通して深い学びに結びつけた。釧路市立興津小は「国内の自動車生産台数と輸出台数の変化」や「日本車の海外生産台数」のグラフや統計資料を使った。各項目の変化を読み取りながら、日本車の海外生産がなぜ増えたかなど疑問を提示し、課題の解決方法を考えさせる探求型の学習を行った。
 市立紋別中は「アフリカの人々の生活の変化」をテーマに社会科の授業を行った。「アフリカの人々にはどんな支援が必要か」を問いかけ、「物資援助か、それ以外の方法か」を2人一組で論議した。一つの結論が出るテーマではないが、社会問題に関心を持たせる対話的な学習で、知識を深め合った。
 札幌光星中・高は、中・高それぞれで公開授業を行った。中学のテーマは「新聞とは何か」。生徒各人が見出しを隠した記事を読み解き、グループ対話を通して見出しを考えた。高校では「1票の格差」に関する複数の記事を活用。格差是正に向けた議員定数の増加・減少について議論。「18歳選挙権」を踏まえ主権者意識の向上を狙った。
 函館西高のテーマは「ミニ討論会をしよう」。「使い捨てプラごみ25%減」の記事について行った生徒の2分間スピーチと、「サマータイムの導入」に関する記事を討議の柱に設定した。グループ討議を深めながら「賛成、反対」の二項対立ではなく、双方が納得できる第3のアイデアを考えることを通して深い学びにつなげた。
 幕別町立白人小のテーマは「熟語のでき方」。新聞記事から興味を持った漢字2文字の熟語を探し、グループで学習。漢字の構成が「上下が反対の意味」「似た意味の組み合わせ」など、熟語の成り立ちを発見したり、調べた意味を話し合ったりした。漢字に対する関心が湧き、疑問や知的好奇心なども学習意欲に結びつく能動的な学習となった。
 室蘭市立桜蘭中はタイムリーな話題である「非正規労働者の増加」「外国人労働者の増加」についての複数紙の記事を読んで問題点を整理。体験学習の経験も生かし、グループごとの話し合いが白熱した。授業の振り返りで行った、自分の行動や考え方などを客観視する「メタ認知」での「学び」の確認は、次の学習に生きていく。
 小樽市立北陵中は英語科の授業を行った。旬の話題の「医学部入試」「労働環境」での男女格差を扱った新聞記事に教諭が英語の見出しを付け、外国語指導助手(ALT)が生徒に伝えた。生徒は記事内容を英語で要約して伝え合うなど、新聞記事が「教科の枠」を超えた共通教材となる活用例となった。
 新ひだか町立高静小では、同小の鍋谷佳裕教諭が「歴史新聞を作ろう」をテーマに行った授業内容を、同校の鹿海圭吾主幹教諭が報告した。興味を持った歴史上の人物などを調べて、模造紙にまとめた「歴史新聞」作りの中で、新聞の見出しを参考にしながら、人が読みたくなる言葉を考えるなど、表現方法としての見出し作りを学び合った様子が伝えられた。
 最近、新聞各社が「教育」に力を入れ、関連記事が充実している。詳細に報告される授業の様子や時世を見通したテーマ設定、解説記事などは、教師力の向上にエネルギーを与えている。新聞各社のより一層の教育関連記事の充実と情報提供を期待している。

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