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都立全高校に新聞6紙*論調や扱い「読み比べ」*多様な意見の尊重学ぶ

 東京都立高校全191校は昨年4月から、新聞6紙を購読し教育に活用している。都教委独自の事業。18歳選挙権の導入で主権者教育に注目が集まる中、記事の扱いや論調が異なる複数紙を生徒が読み「多様な意見を尊重してもらいたい」という意図からだ。(森田一志)

現代社会の授業で、新聞6紙を読む都立国際高校の生徒と、担当教諭の宮崎さん=11日

現代社会の授業で、新聞6紙を読む都立国際高校の生徒と、担当教諭の宮崎さん=11日

 11日、都立国際高校(目黒区)の図書室。1年生約30人の「現代社会」は新聞漬けの授業だった。
 授業のメインは各紙の読み比べ。同校が購読している6紙(朝日、毎日、読売、日経、東京、産経)の10日の朝刊を教室内に配置し、生徒たちは班ごとに移動しながら読み比べをした。
 1面トップは主に「経団連 就活ルール撤廃」「就活ルール 政府主導へ」と、経団連が現行の就職活動の日程廃止を正式決定したニュース。生徒は新聞名を挙げ「決定に批判的で大学側の戸惑い、混乱などを書いている」と読み解き、「多くの新聞は意見より事実を述べていた」との声もあった。担当教諭の宮崎三喜男さん(41)は「一つの新聞だけではなく読み比べが大事」と強調した。
 このほか授業では、記事の感想を述べる3分間スピーチとコラムの精読も行った。さらに宮崎さんは胆振東部地震が起きた9月6日の北海道新聞夕刊を広げ、全域停電でも発行を続ける意義を述べた。夕刊は宮崎教諭が知人を通じて入手した。
 授業を終え、生徒の和田めぐみさんは「現代社会はワークショップがあるから好きです」と話した。
 同校の全校定員は720人。帰国子女や外国籍が多く、図書室には6紙のほか英字紙2紙もそろう。宮崎さんが新聞の多様な価値観にこだわるのも「本校のアイデンティティーが多様性だからです」と語る。
 新聞6紙の配布事業を進めた都教委高校教育改革担当課長の小林正人さん(57)も「生徒には多様な意見を尊重してもらいたい」と効果に期待。利用法について縛りはない。元教師としての経験から、ネットニュースは「見出しの大きさも分からない」と教材としては疑問符を付ける。6紙配布の予算年間約6千万円は都の自主財源だ。
 全国的には、学校図書館への新聞整備は2012年度から国の地方交付税事業(東京都は不交付団体)として行われている。高校については17年度から公立高1校当たり4紙を目安に予算措置が始まった。ただ交付税は使途が特定されないので、必ずしも各校が4紙を購読しているわけではない。
 道教委が整備開始間もない昨年6月時点で道立202高校の購読調査をした結果、「4紙以上」が69校で34・2%だった。高校教育課高校予算グループは「始まったばかりにしては、まあまあの数字ではないか」ととらえ、今後上がっていくとみている。

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