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北海道新聞に掲載されたNIE 関連の記事などを紹介します。

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第4回北海道セミナー*情報読み取り 判断を

 北海道NIE推進協議会(高辻清敏会長)主催の第4回北海道セミナーが8月17日、北海道新聞本社(札幌市中央区)で開かれた。教育ジャーナリストの渡辺敦司さん(54)の講演とワークショップを通じて、NIE(教育に新聞を)を考えた。渡辺氏は石狩管内当別町出身。「新学習指導要領とNIE」をテーマに、新聞記事を基に学習指導要領の変遷を解説。また、東日本大震災に関する記事を紹介しながら、「学校で教えた知識を基に考えるだけでは、原子力政策など新しい課題には対応できない」と述べ、「新聞記事から情報を積極的に読み取って、判断することが必要」と指摘した。道内の小中高校の教諭や新聞関係者ら約60人が参加したセミナーでの渡辺さんの発言要旨と、ワークショップのようすを紹介する。(坂本尚之)

学習指導要領などを解説する教育ジャーナリストの渡辺さん

学習指導要領などを解説する教育ジャーナリストの渡辺さん

*教育ジャーナリスト渡辺さん*複数の見方で記事読もう

 東日本大震災のとき、放射能がうつる、というような「震災いじめ」があった。この偏見をどう教えればいいのか。先生も悩んだと思う。副読本を使ってきちんと教えればいいのか。それでは新しいコンテンツ、学習内容が増えることになる。
 コンテンツを増やして、社会に出るための知識を学校で教えても、その知識を基に考えるだけでは、原子力政策など新しい課題には対応できない。
 新聞の解説記事などから知りたい情報を積極的に読み取って、そこから考える。複数の情報から判断することが必要だ。提案ですが、新聞記事を読む(力を養う)ための教科学習をしたらどうだろう。これは極論ですが、教科の学習に閉じた学習ではいけないということです。
 子どもたちは、新聞だけでなく、インターネットからも有益な情報を得ている。学校で習ったこともないような情報を探し出している。その情報の正誤、フェイクニュースでないかどうか自ら判断する力が求められている。
 NIEだけでなく、N&E(NIE and Education)を提案したい。新聞を読むための教科学習と同時に、新聞界と教育界が一体となって、これからの市民社会や先行き不透明な日本社会のあり方を一緒に考える。NIEがその中心になればいいと思います。
 いま、教科書が読めない生徒がいる。教科書が読めなければ、新聞記事なんかとても読めない。生徒(の家庭)が新聞を取っていないということがあるようだが、先生もそうかもしれない。
 新聞記事が読めないと、そこから何かを考えることができない。これは民主主義社会を考える上で、本当に危機だと思う。先に提案した、新聞を読むための教科学習は、記事から(物事の)見方や考え方をどう培っていくかということでもある。
 そのために、(複数の新聞を用いるなど)たくさんの記事を読ませて考えさせる「比較読み」という方法があるが、次のようなやり方はどうだろう。
 例えば、少子高齢化や子どもの貧困問題など、広がりのあるテーマ、つまりいろいろな教科に関わってくる1本の記事を深く読む。この教科での見方で読むとどうなるか、別の教科の考え方で読んだらどうなるか。それを総合させて、今後のあり方を考える。こんな新聞記事の活用方法があってもいいのではないかと思っています。

*「新聞活用法」教員らが討議*言語能力高める教材に

ワールドカフェで自由に話し合った教育関係者

ワールドカフェで自由に話し合った教育関係者

 渡辺さんの講演に続いて「これからの新聞活用法」をテーマに教育関係者ら約40人がワークショップで討議した。グループ別でネット社会も視野に入れ新聞の利点や課題を思いつくままに述べ合った。
 自由に意見を交わすワールドカフェ形式で行い、1テーブルに4、5人が着席。まとめ役1人を残しメンバーは2度ほど別のテーブルに移動して討議を重ね、元の席に戻る。テーブル上の模造紙に多くのアイデアを書いた付箋用紙を貼り、報告が行われた。
 新聞の利点では、言語能力向上には新聞の要約や見出し作成が役立つと具体的に指摘があった。全国学力テスト応用問題にも十分な準備ができるという。情報活用能力では「新聞社の記事検索のデータベース活用が有効」との発言があった。さらに「朝読書より朝新聞」「記事紹介を朝に続けると、社会を見る目が育つ」との経験談もあった。
 一方で課題も浮かび上がった。「新聞を教材で使おうにも新聞を取らない学校の先生が増えている」「図書館に配布される新聞が足りない」と環境づくりが遅れているとの意見もあった。また、ネット社会と比べ「新聞の良さは何か。作る方にもっと考えてほしい」と新聞社への注文も出た。
 大学生で唯一参加した北海道教育大学札幌校4年の高橋周さん(22)=札幌市南区在住=は大学生になってから、自宅で購読する新聞を読み始めた。専攻する社会科の授業作りでネタ探しにも役立ってきた。今回、セミナーに参加して「ほかの先生方の実践法を学ぶことができた。将来、見出しや新聞づくりで子どもたちの力を伸ばせていければ」と話している。(森田一志)

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