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情報活用能力 国語科で育成*独自の教育課程 拠点は図書室*大阪の植田教諭

 日本NIE学会副会長の植田恭子さん(60)は、この3月、大阪市立昭和中の指導教諭を最後に定年退職する。「国語科こそが『情報活用能力』の礎」という信条でNIE活動を四半世紀続け、国語科3年間のカリキュラム(教育課程)を深化させてきた。図書室を拠点にした実践の一端を紹介する。(森田一志)

大阪市立昭和中の図書室で、情報活用を生徒に教える植田恭子さん

大阪市立昭和中の図書室で、情報活用を生徒に教える植田恭子さん

 「本の森へようこそ」。植田さんが国語の授業で使うのは図書室。教室2部屋分の広さに、調べ学習で使う辞書や読み比べ用の複数の新聞、70インチの電子黒板などをそろえる。

 2月2日に行われた公開授業のテーマは「私たちが考える未来の教室」。1年1組の生徒39人が、9グループ別に事前に作った1分間の動画を、タブレット端末で互いに見せ合う。ICT(情報通信技術)の未来の効用を予測したり、動画編集の技術を駆使したりして将来像を語る場面が印象的だ。

*3年間を細分化

 動画に改善の余地があると生徒が考えた場合は、助言をカードに記入させる。植田さんはそうした助言を集め「自らの物差しで必要な情報を収集し、活用する。分類し大事なものは残し、ほかは捨てるように」と情報の整理術を指導した。

 授業の設計図と言えるのが植田さん流の教育課程=表参照=だ。中学3年間を月ごとに細分化し、「図書館びらき」から各教科のリポートづくり、メディア比較などの学びを網羅する。

 全学年共通の定期的な「NIEタイム」では新聞やワークシートを読み解く。3年生は卒業論文作成が中心だ。全生徒が「南海トラフ地震」から「高田賢三のファッション」「保育士不足と待機児童」など多彩なテーマを設定し、その理由、研究のプロセス、引用・参考文献などを1冊の文集にまとめる。

*デジタルも駆使

 デジタルの長所も取り入れている。同校が大阪市のICT活用事業モデル校に指定された後はタブレット端末などが充実した。専門のICT支援員の力を借り、独自のテレビ会議も組み込む。次期学習指導要領の「深い学び」を先取りするような取り組みだ。全国学力・学習状況調査(学テ)の国語B問題(応用)では、全国や大阪市内の平均正答率を大きく上回る。

 北海道NIE推進協議会の高辻清敏会長は、NIE学会を通じ長年親交があり「子どもたちが好奇心を持ち学べるよう居場所づくりを図書館で進めてきた。女性のNIE実践家では草分け的存在」と評価する。

 植田さんがNIEを身近に感じたのは1991年の育児休暇中だ。疎遠になっていた社会とのつながりを新聞に求めた。現場復帰以降、教育系大学院に入り直し、「情報教育の研究」でカリキュラム試案を研究し教育学修士を取得した。

 情報活用能力育成では、大先輩の国語教育家の故大村はまさんに私淑してきた。現在は、経験や知識を生かして教職員を指導する指導教諭を務める。昨年、優れた教育実践者に贈られる博報財団の博報賞を受賞した。

 これまで教職と3人の子育てを両立させて、近年は通勤に片道1時間半を費やす多忙な生活だった。大村さんの「忙しさを言い訳にするな」という言葉を自らに言い聞かせて実績を残し、今春、自身の「卒業」を迎えた。4月以降、大阪市内の私立中学校や東日本の公立大学でも国語教育に携わる。「学習カリキュラムの改良は続けたい」とライフワークの今後に意欲を燃やす。

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