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戦争の怖さ 新聞で学ぶ*札幌市内小学校が積極活用(2の1)*屯田北小*身近な「丘珠空襲」テーマ 平和の尊さ考える契機に

 今年も終戦記念日(8月15日)が近づいてきた。札幌市では「丘珠空襲」が起きた7月15日を前に、市内の小学校が遺族の思いを伝える記事を使って授業を行い、今も続く戦争の苦しみを伝える教材として役立てた。札幌市教委は3年前から平和教育の授業研究などを始め、当時の新聞や戦争体験者への聞き取りを生かした取り組みが報告されている。(舩木理依)

「札幌でも空襲があって、亡くなった人がいるんだよ」。朝倉教諭が告げると、児童から驚きの声が上がった

「札幌でも空襲があって、亡くなった人がいるんだよ」。朝倉教諭が告げると、児童から驚きの声が上がった

 終戦直前、札幌市東区丘珠地区が米軍機に空襲され、死者が出たことはあまり知られていない。
 札幌市立屯田北小の朝倉一民教諭は11日、6年3組の国語の授業で、父を亡くした岩波英子さん(86)の話をまとめた北海道新聞の記事「丘珠空襲 傷まだ深く」(2002年8月14日札幌版)を教材として使った。
 単元「『平和』について考える」(全14時間)の6時間目。前半は児童が新聞やインターネットで集めた情報を基に「日本は平和か、平和ではないか」を意見発表した。

*「逃げ場がない…」
 その後、同教諭は「みんな、北海道にも空襲があったのは知ってる?」と問いかけ、北海道新聞の記事「全道に執拗(しつよう)なる攻撃 室蘭付近に艦砲射撃」(1945年7月16日朝刊1面)を電子黒板に映し出した。「札幌で空襲はあったと思う?」と重ねて聞くと、即座に「ない」と声が上がる。
 そこで岩波さんを取り上げた記事のコピーを配り、黙読させてから内容を解説した。
 「銃弾が(岩波さんの父)坂東さんの右肩から左腰を貫通していた」の部分を読み上げ、「この時、お父さんはどこにいたの?」と尋ねると、子どもたちは「家の中」と答えた。
 「それなのに、屋根の上から撃たれて亡くなったんだね」と確認すると、「怖っ」「逃げ場がない…」という声が漏れ、恐怖を実感したようだ。
 朝倉教諭は市内美香保公園の砲台跡など戦跡の写真も見せ、「平和な未来をつくるのはあなたたち。戦争について知り、伝えていくことも大切だね」と締めくくった。
 「札幌で空襲があり、人が亡くなっていたなんて知らなかった。学校でみんなにきちんと教えてほしい」。授業を受けた福田晴海くんは真剣な面持ちで話す。藤原七海さんは「体験を話すのは岩波さんにとってつらかったはず。『戦争はやめよう』という気持ちを伝えてくれてありがとう、と言いたい」。
 岩波さんは今も小学校などで体験を語り継いでいる。「戦争は思い出したくないが、普通の人々が亡くなっていく恐ろしさを伝えなくては。これからもこうした授業を進めてほしい」と話す。

*「過去」も情報源に
 今回の授業で戦時中の新聞記事を使ったのは、前半の意見発表で、子どもたちが集めた情報の大半が「今」の問題だったためだ。東日本大震災を例に挙げ、「避難所で暮らす人もおり、平和とは言えない」「募金などで支え合っているので、平和だと思う」などの考えを出し合った。
 朝倉教諭は「子どもにとって、第2次世界大戦は戦国時代と同様に縁遠い話。当時の記事によって現実味が増し、情報収集の範囲に『過去』があることに気づいたはず」と話している。

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