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放射線、授業で正しい知識 「原発」は身近な問題(2の1)*砂川高 記事を活用 *誤解や偏見、見直す機会に 生徒有志が壁新聞を製作

 福島第1原発の事故で放射線への不安や関心が広がる中、砂川高校(北川敏美校長)は新聞記事を活用して146人の1年生全員に「放射線」の授業を行い、生徒有志が「放射線とがん治療」をテーマに壁新聞作りに励んでいる。一方、「原発事故と私たちの暮らし」をテーマに募集した本紙の小中高校生の投稿欄「みらい君の広場」からは、子どもたちが原発を身近な問題としてとらえ始めたことがうかがえる。(武藤理司)

新聞記事を活用して放射線の授業をする高橋教諭=10月12日、砂川高校1年B組

新聞記事を活用して放射線の授業をする高橋教諭=10月12日、砂川高校1年B組

 「福島から新潟の小学校に転校した少女がいじめを受けた理由は」。10月12日、砂川高校1年B組。本紙連載記事「原発と子ども」の2回目「多重苦 避難先でいじめ」(7月26日朝刊)を読み上げてから、高橋賢司教諭が尋ねた。「原発が原因だと思います」と生徒が答えた。
 少女は原発事故後、避難区域外の小学校に転校したが、隣の席の男子に、はさみを投げられ、学校を休んだ。福島からの転校生は「放射線がうつる」などの誤解からいじめを受けることがあるという。

放射線治療装置の説明を受ける砂川高校生。左端が畑教諭=9月30日、札幌・北大病院

放射線治療装置の説明を受ける砂川高校生。左端が畑教諭=9月30日、札幌・北大病院

 高橋教諭は、放射線を放つ物質(放射性物質)を懐中電灯に、放射線をその光に見立てて、放射線が人から人にはうつらないことを科学的に説明。「正しい理解があれば、いじめは起きなかったかもしれないね」と生徒に語りかけた。
 放射線については物理で学ぶ単元があるが、選択科目で受講生が少ないため、1年生に必修の理科総合Bで8時間の授業を実施。「霧箱」で放射線の軌跡を見る実験や「はかるくん」を使った放射線測定なども行った。
 いじめられた転校生や茨城県東海村で起きた臨界事故の記録映像など放射線のマイナス面、作物の品種改良、土器の年代測定など社会に役立つ側面の両方を示し、生徒自身が考えるきっかけとした。
 高橋教諭は「放射線は怖いという漠然としたイメージから、正しく理解しようとする方向に意識が変われば授業の意味があった」と考えている。

砂川高校生が「放射線とがん治療」をテーマに製作中の壁新聞

砂川高校生が「放射線とがん治療」をテーマに製作中の壁新聞

 一方、砂川高は文部科学省の「放射線等に関する課題研究活動」に道内で唯一、参加。理系、医療系進学を希望する1、2年生8人が7月、「放射線とがん治療」をテーマに壁新聞作りを始めた。
 8月には代表の石川菜摘さん(2年)ら4人が千葉県での交流会に出席し、全国の高校生と放射線について話し合った。9月にはメンバー全員が札幌の北大病院を訪ね、放射線科の白土博樹教授らから話を聞き、放射線治療装置を見学した。
 壁新聞は、北大が2014年の実用化を目指す陽子線治療に焦点を当てた。治療効果が大きく副作用が少ないことや放射線の治療の特色、日本であまり普及しない理由などの記事を掲載する。
 石川代表は「正確な情報をたくさんの人々に知ってもらう難しさを学んだ」と語る。
 提出締め切りは11月初め。全国35校から選ばれた8校が12月、東京で発表会に臨む。指導する畑恵成教諭は「生徒たちは一つのことを徹底的に調べ上げ、新聞を作る難しさや喜びを知ることができた。全国の高校生と再び熱い議論を戦わせたい」と話している。

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