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北海道新聞に掲載されたNIE 関連の記事などを紹介します。

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「生涯一教師」故大村はまさん*国語教育 原点は新聞*記事読み比べ 言葉の力育てる

大村はまさん

大村はまさん

 「国語教育の神様」、故大村はまさん(1906~2005年)はNIEの先駆者でもある。新聞記事などを使い個々の生徒の課題や学力に応じた教材を手作りし、「大村単元学習」と呼ぶ独創的な指導で言葉の力を育てた。新学習指導要領で新聞活用が本格化するなか、98歳の生涯を一教師として貫いた先達の実践の意義を探った。(武藤理司)

 日本NIE学会第8回大会が昨年11月、鳴門教育大(徳島県鳴門市)で開かれた。記念講演の講師は、大村さんと50年余り交流した橋本暢夫・元同大教授。大村さんの新聞各紙を使った授業などを紹介し「生徒一人一人に即した学習の手引きを用意して自分の考えを持たせるように工夫した」と説明した。

「大村はま文庫」に収められた学習記録を見る研究者ら=昨年11月、鳴門教育大付属図書館

「大村はま文庫」に収められた学習記録を見る研究者ら=昨年11月、鳴門教育大付属図書館

 大村さんは幼児期の数年を札幌で過ごし、戦争を挟み52年間、高等女学校や中学校の教壇に立った。橋本元教授らとの縁で、教え子の学習記録約2千冊や蔵書などは同大付属図書館の「大村はま文庫」に収められている。

 「大村単元学習」の原点は古新聞の活用。戦後間もなく東京の新制中学で、疎開の荷物から新聞や雑誌を取り出して切り抜き、すべて違う記事の余白に問題を書いて教材を作り、100人の生徒に渡した。騒いでばかりいた子どもたちは食いつくように勉強を始め、大村さんは教師の役割の大きさを自覚した。
 東京・石川台中学校ではこんな授業があった。隅田川花火大会が復活した1978年、新聞4紙の記事を比較して「表現くらべ」を行った。「絵巻き物」「パノラマ」など新聞によって表現が違う。「とらえ方の味わいの深さに、おもしろさに、ため息をつくほど」と自ら記している。
 当時、大学を出て同校の夜間警備員を務め、大村さんと親しくなったのが石狩管内当別町のパン工房経営、早川哲雄さん(67)。ある時、生徒の学習記録を見て驚いた。「一人一人が違うことを書き、どの子も役割を持って自分の世界を築いている。それぞれの能力を輝かせていく『はま先生』に圧倒された」
 個々の生徒の力に応じた課題を与え自主的に学ばせる指導は、現在の総合学習を先取りし、複数の新聞の読み比べは情報を批判的に読み解くメディアリテラシー教育に通じる。
 「大村さんは子ども一人一人の力を見抜き、最適な教材を探し出した。NIEという言葉もない時代に取り組んだのは画期的。よほどの指導力と情熱がなければできない」。道教大付属札幌中などで国語を教え、札幌で教師の研修サークルを主宰する安藤修平・元富山大教授は指摘する。

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