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札幌清田高・グローバルコース*読み比べ 紙面に違い*「光市」判決めぐり議論*情報の吟味 大切と実感

 少人数での英語学習と異文化理解を目標に掲げる札幌清田高校(西村喜憲校長、954人)のグローバルコース。3年生1クラス39人は進級直前の3月、新聞4紙を読み比べする授業を受け、同じニュースでも新聞によって記事や見出しの扱いに違いや特徴があることを学んだ。英語による「卒論」作りを前にメディアリテラシー(情報を読み取る力)の格好の学習になったようだ。(森田一志)

長沼斎教諭

長沼斎教諭

 「一方的な情報に流されないようにすることが大事」。担任で学校設定科目「国際協力」担当の長沼斎(しとし)教諭は、同校がNIE実践校に指定された2009年度から3年間読み比べを行い、年々その有効性を確信してきた。
 年度末の授業の時期に合わせ、題材も生徒の関心が高いニュースを取り上げる。11年度は「光市母子殺害事件」の差し戻し審で被告である元少年の死刑判決確定を選んだ。

各紙の読み比べをし、今は論文づくりに力を注ぐグローバルコースの生徒たち

各紙の読み比べをし、今は論文づくりに力を注ぐグローバルコースの生徒たち

 授業は3月中旬に3回行い、教材に2月21日の北海道新聞と朝日、読売、毎日新聞の4紙朝刊を使った。4人1組の計10グループに分かれて読了後、ワークシートに個人の感想を書き、その後グループ別、そしてクラス全体で比較検討をした。生徒たちが各紙1面の特徴としてまとめたのが別表だ。

 元少年の死刑確定は新聞によって論調が分かれ、遺族ら被害者の記事も違いが鮮明だったという。「写真一枚とっても違いがあり、記事のトーンを補強するように使われているようだ」と千里優太さん。
 元少年の実名を掲載しない紙面もあり、須藤春那さんは「一つの記事をあまり真剣に受け止めるのはどうかなと思った」と適度な距離感を取ることを口にした。また、ネットをよく使う貫地谷駿さんは「情報の吟味が必要と感じた」。

 この授業は卒論作りに向け、調べて書くことを習慣付ける学びの場。生徒たちは興味や関心のあるテーマを決め英語で卒論をまとめ、10月上旬、全員がプレゼンテーションで競う。ネットや各種文献などを参考にするが、事実関係や客観性、主張の偏りなどの見極めに新聞の読み比べは役立つという。長沼教諭は「卒論の質を上げるための一手段だが、今後実践校から外れても時間を取って続けていきたい」と話している。

◇光市母子殺害事件◇
 1999年4月14日、山口県光市の会社員本村洋さん(35)宅で妻弥生さん=当時(23)=と長女夕夏ちゃん=同(11カ月)=が殺害され、18歳になったばかりだった近所の大月孝行被告が4日後に逮捕された。犯行時の少年への死刑適用を遺族の本村さんが一貫して求め続けるなど法廷内外で幅広い議論を呼んだ。今年2月、差し戻し上告審で、最高裁第1小法廷は被告の上告を棄却し、死刑が確定した。

*各紙1面の特徴(抜粋)
朝日 ・最高裁判決に力点があり、他の情報は少ない
・事実を淡々と述べていて、中立的である
読売 ・これまでの司法判断の推移が詳しく表にまとめられている
・判決理由が詳しく、死刑判決に肯定的な印象
毎日 ・唯一少年法の精神の尊重から実名報道をしていない
・裁判官、遺族、弁護団らの声で、多面的に考えさせる構成
道新 ・死刑判決自体より、社会への影響について力点がある
・解説の主張が死刑判決に反対の立場で書かれている
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