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福井市でNIE全国大会*記事を基に多彩な意見*最多1780人参加*地域性豊かな公開授業

 第17回NIE全国大会(日本新聞協会主催)が7月30、31の両日、福井市内で開かれた。新聞の活用を盛り込んだ新学習指導要領が小中高校で順次実施されるなか、教師や新聞関係者ら過去最多の1780人が参加。全国でも学力がトップクラスの福井県だけに、分科会では地域に根ざした多彩な公開授業や実践発表が行われた。(武藤理司)

食育の授業で、取材した成果を壁新聞にまとめて発表する坂井市立長畝小6年生

食育の授業で、取材した成果を壁新聞にまとめて発表する坂井市立長畝小6年生

*「食育」を取材
 このうち福井県の食育実践校に指定されている坂井市立長畝(のうね)小は、総合学習で食育の授業を公開した。まず、6年2組の31人が6グループに分かれ、自分たちで取材した成果をまとめた壁新聞を発表した。
 「安全第一新聞」を作ったグループは、地元の農家が粘着シートでトマトや小松菜の害虫を取り除いていることを紹介し、「農薬を使っていないので安全です」と、地産地消を呼びかけた。また、福島市のサクランボについて「検査をして安全なら買ってもいい。放射能の量をはっきりさせるのはいいこと」と報告した。
 トップ記事に「朝食はパワーの源」と大見出しを付けたグループは、福井新聞の記事を参考にして朝食を抜くとエネルギーを補給できず、太る原因になると指摘。自分たちで考えた栄養バランスの良い和洋の「オススメ朝食」メニューを掲載した。
 締めくくりに児童たちは「食べるのが早いので直したい」「朝ご飯の大切さが分かりました」と感想を話し合った。
 この授業は「自分の食生活を見直そう」の単元12時間のうちの11時間目。北倉敦子教諭は「新聞を使うことで、子どもたちは読み書きに苦痛を感じなくなり、人前で自信を持って話せるようになった」と語る。
 長畝小はNIE実践校に指定されて3年目。食育にNIEを取り入れることで、野菜を苦手とする児童が減り、給食の食べ残しもほとんどなくなったという。

*討論に手応え
 越前市立南越中の3年生32人は「福井県と大都会 魅力的なのはどっち」をテーマに、「福井派」と「都会派」、判定係の3班に分かれ、それぞれの論拠に新聞を活用して討論した。
 福井派が県内のブナ林で緑が輝く様子を伝える記事を示しながら「自然が豊か」「就職率が高い」「幸せ度日本一に選ばれた」などと訴えれば、都会派は「交通の便が良い」「最先端の情報や技術が集まる」「娯楽施設が充実」と応酬。作戦タイムに続く反論で、福井派は東京スカイツリーにも福井の企業の技術が使われていることをアピールした。
 南越中は年間を通じて総合学習の時間に新聞を活用している。討論の狙いは、福井に関する記事の収集・整理、課題発見、説得力のある意見の発表など。担当の泉正人教諭は「生徒たちが目的意識を持って主張の根拠となる記事を探してきた」と手応えを話す。

*読む→考える→意見を持つ…*「学びのステップアップ」が指針
 福井県のNIEは、第17回NIE全国大会実行委員長の寺尾健夫・福井大教授が提唱する「学びのステップアップ」が実践教師の活動基盤となっている。小学校から中学校、高校と連続的に新聞活用と学習の進み具合を判断する体系的な指針で、大会の公開授業などもこれに基づいて行われた。
 「学びのステップアップ」は《1》新聞に親しむ《2》新聞を読む・知る《3》新聞を読み、考える《4》新聞で自分の意見を持ち発信する《5》他の意見との違いを知り、発信する《6》社会とつながる―の6段階。これに連動して読解力、情報を批判的に見る力、社会への提案力など七つの能力を小中高校の12年間で育てていく。
 こうした能力を自在に活用できるようになれば、子どもたちが今大会のスローガンとなっている「『考える人』になる」ことが可能だとする。
 このような体系的なカリキュラムがあると、小中高校の各学年ごとに、どのような能力をどのようなステップで育てればよいのかが明確になる。大会初日の全体会で基調提案した寺尾教授は「指導の基準ができ、先生方に便利な指針となる」と説明した。
 大会で行われた公開授業を「学びのステップアップ」に当てはめると、坂井市立長畝小の食育は《3》を基にし、《4》に発展させていく内容。越前市立南越中の「福井派」と「都会派」の討論は《4》から《6》への学習となる。
 大会に参加した北海道NIE推進協議会の高辻清敏会長は「6段階のステップアップ表があれば、NIEを実践する教師と生徒が現在の学びをどう位置付け、さらに力をつけるには新聞をどう使えばいいかが一目で分かる。『考える人』を育てるために効果的な取り組みだ」と話している。

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