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札幌旭丘高・高瀬教諭*情報 正しく読み解く力を*iPS誤報題材に指導

 社会に氾濫する情報の真偽をどう見極めるか―。札幌旭丘高で「情報」を教える高瀬敏樹教諭は10年前から新聞やインターネットを活用し、情報を正しく読み解くメディアリテラシー教育に力を入れている。教室では生徒にパソコンを使わせながら授業を進める。最近では人工多能性幹細胞(iPS細胞)を臨床応用したとする誤報などを題材に、情報を見抜く心構えを指導した。(武藤理司)

モニターに必要な情報を映したり、生徒にインターネットを検索させたりしながら授業を進める高瀬教諭(奥)

モニターに必要な情報を映したり、生徒にインターネットを検索させたりしながら授業を進める高瀬教諭(奥)

 「誤報と捏造(ねつぞう)の違いが分かりますか」。17日、1年1組の生徒40人に高瀬教諭が注意を促した。生徒が向かい合う長机の上にはパソコンのモニターが並び、教師が必要な情報を映したり、生徒がインターネットを検索できる。
 この日は、iPS細胞を開発した山中伸弥京大教授のノーベル医学生理学賞受賞の記事に続き、インターネット上の「虚構新聞」で「京大名物『iPSカレー』」が人気という記事をモニターに映した。虚構新聞の記事はすべてうそとジョーク。「ネットの情報は必ずしも正しくない」ことを理解させた。
 続いて森口尚史氏がiPS細胞を臨床応用したという誤報を検証する読売新聞の記事(13日朝刊)の一部と誤報にかかわる動きを伝える朝日新聞記事(14日朝刊)のコピーを配布。「裏を取って確認する」ことの重要性を説明した。

*真偽の確認討論
 ここで「情報の収集・発信と個人の責任」と題したワークシートを配り、各生徒にインターネットでメディアの誤報例を調べさせた。生徒たちは「誤報」「新聞」などのキーワードを打ちんでいた。その結果を基に10グループに分かれて約20分間、真偽を確認する方法を討論した。
 各グループの代表は「当事者に直接問い合わせる」「関係する機関や人物を調査し、より多くの情報を集めて検証する」「複数の情報源を比較してみる」などと発表した。
 高瀬教諭は「複数の情報を見比べるクロスチェックが大切」などと情報を見極めるための心構えを説いた。さらに森口氏自身が2007年、日本経済新聞のインタビューで健康情報について「うのみは禁物」と語っている記事を紹介。推薦図書として「『本当のこと』を伝えない日本の新聞」(双葉社)など3冊を挙げた。
 終了後、生徒たちは「新聞にも誤報がたくさんあることが分かった」「一つの情報を信じ込むのは危険」「うその情報を自分から拡散しないように注意したい」などの感想を記した。
 この授業に関連して高瀬教諭は7月、首相官邸前の反原発デモに関する北海道新聞と全国紙計5紙の記事(6月30日付)から新聞による扱いや視点の違いを学ばせた。
 昨年は国の原発に対する姿勢を論じた4紙の社説の読み比べを行い、新聞社によって論調に差があることを示した。

*「うのみにせず」
 高瀬教諭がこうしたリテラシー教育に取り組んだのは「情報」が教科として導入された2003年度から。「一つの情報をうのみにせず、情報の真偽を確かめる手段を理解して的確に使いこなしてほしい」と期待する。
 高瀬教諭は、日本新聞協会が来春、新聞活用を盛り込んだ高校の新学習指導要領実施に合わせて発行するNIEガイドブックに「メディアリテラシーを向上させよう」など2項目を執筆する。

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