NIEニュース
北海道新聞に掲載されたNIE 関連の記事などを紹介します。

NIEのページ

Page of the NIE

激動の昭和 記事で理解*札幌・ひばりが丘小で公開授業*東京五輪題材 戦後史考える*「着眼点良かった」高評価

 戦争から敗戦、復興…。激動の昭和史をどのように教えるか。北海道社会科教育研究会(通称・北社研)の大会が5日、札幌市立ひばりが丘小学校で開かれた。半世紀近く前の東京五輪を切り口にした公開授業では、新聞記事が理解に役立つ資料であることがあらためて確認された。(森田一志)

児童たちと東京五輪の歴史的な意義を考えた石川友香教諭の公開授業

児童たちと東京五輪の歴史的な意義を考えた石川友香教諭の公開授業

  「なぜ東京五輪(1964年)のために日本は大金をかけたのか」。小学6年生の歴史の公開授業は、石川友香教諭(29)がその歴史的な意味を児童31人と考えた。
  今年のロンドン五輪と東京五輪を財政規模で比べると、国家予算に占める割合は東京が30%だったのに対し、ロンドンは1・6%にとどまったという。
  ロンドン五輪は環境に配慮した緊縮五輪という事情があったにはせよ、東京五輪の予算規模は桁外れになる。実はそこに五輪を切り口に戦後を考える意図があった。
  教科書の単元「戦争から平和へ」(教育出版)で扱う時代は1931年(昭和6年)の満州事変から、国際連盟脱退、泥沼の太平洋戦争へと突き進み一転、45年(同20年)の敗戦、そして焦土からの復興へと続く。

*復興をアピール

 東京五輪に多額の予算を使ったのは「日本が平和で豊かな国になったことを世界各国に知らせたかったから」。石川さんはその結論を児童とともに導いた。
 まさに東京五輪は新生日本を象徴し、国威発揚の舞台になった。巨費を投じたのは首都圏のインフラ整備加速が必要だったからだ。
 この世相を当時の息吹とともに伝えたのが新聞記事。公開授業では教科書、副読本とともに、五輪最終日(10月24日)の朝日新聞夕刊の記事を使った。
 記事は10月10日の開会直前、競技施設や高速道路、地下鉄やモノレール、ホテルなどの建設工事ラッシュで東京が騒然としたと描写。「民族のエネルギー一つに」という見出しも国内の高揚感を物語っている。

*なじみない時代

 もちろん石川さんは当時を知らず「父親がテレビで五輪を見たという話を聞いた」という。この授業の資料作りを担当した北社研小学校研究部の木村瑛教諭(27)=札幌市立元町北小学校=も「僕自身なじみのない時代。教科書を読んでから資料作りを始めた」。
 新聞活用は「教科書や副読本とはひと味違ったものがほしかったから」(木村教諭)。各新聞の縮刷版を調べ記事データベースで検索。記録映画「東京オリンピック」の市川崑監督の感想なども候補に上ったが、新聞記事一本に絞った。
 授業の最後で、東京五輪の成果については読売新聞の記事を用いて検証した。海外選手団の大会を絶賛するコメントで東京五輪の成功を確認した。
 公開授業の教室には見学の教師らが入りきらず廊下まであふれた。北海道NIE推進協議会の高辻清敏会長は見学して「着眼点のよい授業だった」と評価し、「団塊世代の教師が定年退職して以降、近現代史の指導は手薄になった。新聞などの活字メディアは加工や応用が利き、教育現場での問題提起には最高の教材だ」と話していた。

ページ上部へ