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北海道新聞に掲載されたNIE 関連の記事などを紹介します。

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秋田でNIE学会・シンポ*震災と向き合い 教える*菅原教諭「生徒の心に配慮」/植田教諭「当事者の立場で」/大泉記者「伝える技術育む」/阪根教授「防災の教材にも」

 NIEの意義や実践方法などを研究する日本NIE学会。11月下旬、秋田大学で開いた第9回大会のシンポジウム「東日本大震災とNIE」では、震災を教育現場でどう教えるかパネル討論が行われた。「つらくても現実と向き合うことが必要。忘れてはならない」と、子どもたちに配慮しつつも授業で教えていく必要性を確認した。(森田一志)

 パネリストは仙台市立八乙女中教諭の菅原久美さん、大阪市立昭和中教諭の植田恭子さん、河北新報社デジタル編集部記者の大泉大介さん、NIE学会常任理事で鳴門教育大教授の阪根健二さんの4人。

活発に討論するパネリスト

活発に討論するパネリスト

■まだ迷いも
 被災地の学校が震災を授業でどう教えるか。司会の阿部昇秋田大教授は、被害の記憶が「まだ生々しすぎて迷いがある」と指摘した。
 菅原さんは八乙女中校舎の被害が比較的少ないことから昨年4月以降、生徒たちに自宅から持ってきた新聞の切り抜きをさせた。被災地の窮状に生徒からは「絶望せずに諦めない心を持ちたい」「普通にご飯を食べ過ごすことに罪悪感がある」と声が上がり、菅原さんは「子どもたちの思いが垣間見えた」。
 震災1周年体験エッセー新聞を読んで感想文を書く学習以降、肉親を震災で亡くした生徒は「忘れてはならない。後世に伝えていく」「だれかのために何かをしたい」と意識が変化したという。
 「子どもたちがどんどん話してくれるようになった。教科書などにない現実を伝える新聞の力は大きい」
 どこかで震災と向き合う場面は必要としても「本人と語り、クラスでも事前に話し合いをし『つらかったらいなくてもいいよ』」と、少しずつ心を解く配慮が必要とした。
 植田さんは1995年の阪神大震災以降、毎年3学期に震災に関連した情報を授業で読ませ続けてきた。「人ごとではなく、当事者の立場、つまり『自分事』として想像するように指導する取り組みが重要」との思いからだ。「背景の『情』を読む」などに力を入れ「今回は新聞記事で、被災地で困難に立ち向かう人の姿を希望の象徴として使った」。
  また東日本大震災直後とその1年後、生徒たちに被災地を思う短歌を創作させた。時間が経過すると、被災者に寄り添うような作風が色濃くなったという。

■発信力で差
 阪根さんは阪神大震災の経験などを踏まえ、被災地と近隣地域の教育現場は震災の実情を学ぶ機会を避ける傾向にあるとし、風化もあり得ると述べた。
 「生き抜くための防災・減災の教材にするためにも、学校で災害報道は扱わなければならない」とし、教師のきめ細かい指導と管理職の理解が必要とした。
 河北新報社の大泉さんは記者歴17年。震災当時は編集局の防災担当で、津波取材を続けた。感じたのは「地域の発信力」の違いによる報道される量の格差だった。河北新報社は今夏、多くの大学生を就業体験で長期間、被災地取材に受け入れ、伝えるスキルを学んでもらったという。
 NIE活動でも「『伝える力』をどう培うかが求められている」と指摘。新聞投書欄も貴重な場とした。
 大泉さんは河北新報社が宮城県沖地震に備え防災報道に力を入れてきたが、震災後の読者調査で「役に立った」と回答したのは3割だったとした。この反省から被災者のメッセージを伝えようと、記者が地域に出向き住民と定期的な巡回ワークショップを始めたと述べ、「生きる教訓」として毎月11日に紙面化していると報告した。

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