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札幌・平岡中の兼間教諭*「需要と供給」記事で学ぶ*震災 ガソリン不足テーマ*給油の優先順位 生徒議論

 震災に伴う物不足の中で「需要と供給」はどうなるのか―。札幌市立平岡中の兼間昌智教諭は公民科の教材「東日本大震災と市場経済」を考案し、授業で活用している。北海道新聞記事で震災直後の市民生活の状況を把握させてから、極端な燃料不足の中でガソリンを優先的に売るべき相手を考えさせる内容。「新聞は教師が意図した必要最小限の情報を理解させるのに効果がある。記事がなければこの授業は成立しない」と話している。(武藤理司)

北海道新聞の記事を示しながら授業を進める兼間昌智教諭

北海道新聞の記事を示しながら授業を進める兼間昌智教諭

 2011年3月11日の東日本大震災後、東京の教師が作成した便乗値上げとガソリン販売の優先順位を考えさせる教材を参考に、北海道新聞の記事を加えて15枚のスライドにまとめた。  
 教科書に基づいて「需要と供給」を指導したうえで昨年12月、担当する3年1組と2組で授業を行った。

*市民生活把握
 まず震災発生直後、交通や物流が寸断された状況を伝える記事を次々とモニターに映し出した。「あふれる帰宅難民 首都圏」(3月12日朝刊)をはじめ、「『買いだめ自粛を』張り紙 札幌の小売店『まだ存分に在庫』」(3月16日朝刊札幌市内版)「燃料、薬不足深刻」(同夕刊)など。
  兼間教諭が「札幌でも乾電池が品切れになった」と水を向けると、「そうだったね」という声も上がり、生徒たちは当時の状況に思いを巡らせた。特に岩手県でガソリンの給油を待つ長い車列の写真(3月17日夕刊)には衝撃を受けた様子だった。
 続いて兼間教諭は、被災地にあるガソリンスタンドの店長が優先的に給油すべき客を考えさせた。2千台もの車が待っているのに、在庫はタンクローリー1台分(1万6千リットル)という想定。全車に均等に割り当てると、1台8リットルにしかならない。
 選んだ客は次の4組。《1》ドライブデートの若いカップル(先頭)《2》新婚旅行のカップル(10台目)《3》赤ちゃんのおむつやミルクを求めて避難所を移る夫婦(100台目)《4》命にかかわる重病の親を遠くの病院に託そうとする夫婦(最後尾の2千台目)。それぞれが支払える額は1リットル当たり《1》の150円から《4》の千円まで幅がある。

*「お金か命か」
 生徒たちは1人ずつ考えてから、3~4人のグループで2度にわたり討論し、順番を決めた。クラス全体として最も優先順位が高かったのは、1組が100台目の赤ちゃんを抱えた夫婦、2組が最後尾の重病の親を病院に運ぶ夫婦だった。
 2組の吉田玲奈さんは「難しい問題だけど、目の前で助かるかもしれない命を見捨てるわけにはいかない」と話す。伊原穂乃佳さんは「お金を重視するのか、命を大切にするのか、みんなの考え方の違いが分かった」と言う。
 この授業は昨年度の3年生4クラスでも行った。現3年生には順番が大事という意見もあったが、ほとんどの生徒が最後尾の客を優先したという。
 兼間教諭は「新聞は必要な情報が瞬時に的確に分かるのが魅力。記事で震災後の状況を示したから、生徒たちは極限状況の中でも需要と供給の関係が成立することを理解できたと思う」と話している。

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