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岩見沢西高2年生*社説「縮約」 広がる視野*原文生かし縮める*時事問題に関心 表現力向上へ一歩

 道立岩見沢西高の2年生全4学級は、1年から学年一体で表現力向上の学習に取り組んでいる。2年目の本年度、大きな柱は新聞の社説を、原文を生かしながら縮める「縮約」だ。生徒の視野を広げようとの試みは最終年の3年への大きな一歩になったようだ。(森田一志)

「西高コラム」の時間に社説を読んで意見をまとめる2年生

「西高コラム」の時間に社説を読んで意見をまとめる2年生

 「高速バス事故 安全運転へ徹底検証を」=5月2日、北海道新聞社説=の縮約の一例は「(国は)旅行会社にバス事業の許可を取るよう指導し責任を持たせるという。作業を急ぐべきだ」。
 また、「五輪閉幕 奮闘した選手をねぎらいたい」=8月14日、読売新聞社説=の縮約は「2020年東京五輪の招致活動の盛り上げにつなげたい」の一文で締めくくられる。
 冊子「西高生 未来への提言」(B5判、約160ページ)には、こうした約150人分の縮約が収録された。話題は道産ロケットの将来や原発再稼働、穀物高騰、憲法改正への懸念など幅広い。

縮約作業のルール

 縮約とは原文を縮めて文章を短くする方法。文意をまとめる要約に対し、原文のまま短くするので文章の骨格を理解するのに役立つと、国語学者の故大野晋さんが著書「日本語練習帳」(岩波書店)で勧めている。
 西高2年生は昨年4月以降、自宅で新聞などから選んだ社説を切り取って400字に縮約した。この縮約とは別に、その話題について生徒自らが考える「私の提言」も加えて掲載、冊子化された。
 表現力向上の取り組みは2011年度の新入生を対象に3年計画で始まった。学年主任の稲川晃教諭(47)は「『うざい』『きもい』の若者言葉では豊かな人間関係は築けない。社会で必要な力を育成したかった」。学年の各担任も賛成し「表現力育成プロジェクト」と名付けられた。
 総合学習やロングホームルームの時間を使い、定期的に社説や小説を読んで、意見を素早くまとめる「西高コラム」の時間や読書感想文を通じ、生徒の読解力や文章力を手ほどきしてきた。
 4学級の担任会による毎週の打ち合わせのほか、コラムの題材は校長以下教員10人ほどで交互に選んだ。初の縮約指導には、縮約の授業を取り上げた本紙「NIEのページ」(2009年4月27日朝刊)やネット情報を参考にした。
 2年生の佐藤亜沙美さんは「原発や世界のテロ問題など新聞のいろんなニュースに目がいくようになった」と話し、時事問題への関心を高めている。
 縮約の成果に関連して稲川教諭には忘れられない記憶がある。
 昨年10月、2年生の修学旅行で阪神大震災(1995年)の教訓を発信する「人と防災未来センター」(神戸市)を見学した。2時間余りで見学が終わったことに「もっと防災や減災を勉強したかった」と残念がる生徒たちがいたという。
 2年生は阪神大震災の年に産声を上げ、東日本大震災の年に高校入学した者が多い。
 稲川教諭は「成果は分かりにくいが、種は確実にまかれていると思いました」と手応えを感じている。

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