NIEニュース
北海道新聞に掲載されたNIE 関連の記事などを紹介します。

NIEのページ

Page of the NIE

全国高校NIE大会・稲井理事講演*教師の実践共有を*学び続ける力育てて

高校NIE活動の裾野拡大を訴える稲井さん

高校NIE活動の裾野拡大を訴える稲井さん

 全国高校NIE研究会の全国大会が3月23、24の両日、水戸市の私立水戸女子高校で開かれた。新聞活用などを通じた「言語活動の充実」を掲げる新学習指導要領の4月実施に向け、常任理事の稲井達也さん(51)=日本女子体育大学教授=が「NIEの課題と展望」と題して講演。「教師が実践を共有し、広げていく努力を」と提言した。(森田一志)

 高校のNIEで育てる学力像は何か。狭い意味の「学力」ではなく、生徒が自立して学び続ける力だ。「キャリア教育」として生涯学習などの視点を入れ、将来につなげていくことこそが大切だ。
 私の大学はスポーツに取り組む学生が多くいるが、「学生に新聞を読ませてほしい」と大学側に言われた。新聞は新鮮だったようで、彼らは大学で新聞の重要性が分かった。新聞と出合った時がNIEのスタートである。
 ただ、スマートフォン(多機能携帯電話)で検索すれば「記事」はすぐ出てくる。大学生とはいえ、うまく工夫しないと新聞と出合うこともない。
 「なぜ新聞なのか」を理解する若い世代の開拓が必要だ。マスメディアが曲がり角に来ており、震災報道でも検証記事が不十分だった。池上彰さんのニュース解説が受け入れられるのは分かりやすいからだ。新聞はどんな読者層を想定しているのか分かりにくい。まだまだ魅力に乏しい。

*位置づけ必要

「今日の一枚」の発表後、震災の記事をめぐり話し合う大武教諭と児童たち=3月7日、旭川市立永山小5年3組

「今日の一枚」の発表後、震災の記事をめぐり話し合う大武教諭と児童たち=3月7日、旭川市立永山小5年3組

 高校段階のNIEが大事なのだが、シラバス(講義授業実施要項)は小中学校に比べあっさりしすぎている。年間の指導計画にNIEをうまく位置づけることが必要だ。
 よく「高校でNIEが広がっていかない」と聞くが、工夫がないと単なる教師の個人商店で終わってしまう。実践をガラス張りにして共有しているだろうか。1人の実践から複数者の実践に広げる努力がほしい。同一教科から他教科に働きかけることも必要だ。そういう努力をしないと「あの人、勝手にやっている」と言われる。
 高校の教師は、小中学校以上に他教科のことには踏み込まないという了解事項があるので、総合学習やホームルームの授業時間を使うのもいいだろう。
 NIEに批判的な教師もいる。例えば公教育の中で新聞社の政治的な論調をどう扱うか。教師が公務員であれば倫理が問われる。政治的な記事を扱うには注意する必要がある。

*ネット活用も
 NIEの実践手段ではタブレット端末とネットの有効活用や新聞社のデータベースなどが便利だ。過去、新聞でどう扱われたのかも調べることができる。
 図書館で情報や新聞を集めるなどの工夫もほしい。生徒たちが段階的に「調べよう」という機運になっていく。実際は、学校図書館には新聞購読のため総務省の地方交付税が措置されているが、(使い道が特定されておらず)新聞購読に使われていないことも多く残念だ。
 高校のキーワードは「発信するNIE」と思う。地域や地方に向けて高校生の考えを発信してほしい。

 大会には教師ら約120人が参加した。首都圏や関西などの教師9人が小論文や国語力の向上などを目指す授業実践を発表。記事と併せて社説ノートやワークシートも使うと有効との提言もあった。会場校である水戸女子高の研究授業「NIEを用いての道徳」では、1年生約30人が記事を手がかりに、社会のマナーについて感じたことを発言した。

 いない・たつや 都立高校教諭などを経て12年から日本女子体育大教授。01年から全国高校NIE研究会常任理事。専門は国語教育、図書館情報学。上智大文学部卒。

他の記事を読む

ページ上部へ