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北海道新聞に掲載されたNIE 関連の記事などを紹介します。

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静岡で第18回全国大会(2の1)*公開授業 成果を披露*放射線について考えよう*危険性 多角的に

 第18回NIE全国大会(日本新聞協会主催)が7月25、26の両日、静岡市で開かれた。「『学び』発見―ふじのくにから『やさしいNIE』」をスローガンに、教育、新聞関係者ら1375人が参加した。公開授業の中から、原発30キロ圏内に位置する中学校の放射線をめぐる意見発表と、NIE初心者の小学校教諭による見出しの付け方をテーマにした学習を紹介する。

公開授業で班ごとに意見を出し合う島田市立金谷中の2年生たち

公開授業で班ごとに意見を出し合う島田市立金谷中の2年生たち

 「きょうは放射性物質のセシウムについて考えてみよう」
 島田市立金谷中学の放射線に関する公開授業。2年生約30人を前に、理科教諭の油井和哉さんは新聞記事の資料集を配布した。
 2011年3月の東電福島第一原発事故後、NIE全国大会で放射能に真正面から取り組んだ公開授業は初めてだけに多くの報道陣が詰めかけていた。

*お茶から検出

 授業の導入部に使ったのは原発事故3カ月後の11年6月の静岡新聞。静岡市・藁科地区で特産の一番茶の製茶工場から、国の暫定基準値(1キログラム当たり500ベクレル)を超えるセシウムが検出されたと報道されていた。
 この茶葉からいれたお茶を飲用した場合、人体にどんな影響があるのか―。油井教諭は、セシウムの内部被ばくの危険性に焦点を当て問題提起した。
 資料集の記事では原発問題取材班のチェルノブイリ・ルポや静岡県内の給食センターで放射性物質濃度測定検査が始まったという記事も参考にした。多角的な見方を通じ、まず個々の生徒が考え、班ごとに議論の結果、危険性とその理由を発表する段取りだ。
 公開授業の約1カ月前から生徒は3時間ほどかけ放射線の基礎知識をはじめ、外部被ばく、内部被ばくの違いを副読本や新聞で学んでおり、この日は応用編として理解力が試された。
 「放出される放射線のガンマ(γ)線は薄い金属板を透過するので、人の細胞を傷つけるのでは」「国が規制しているんだから500ベクレルを超えたら危ない」
 各班のホワイトボードにはこうした意見や考えが書かれて発表され、油井教諭が一つ一つ解説したり理由を補強したりしていく。「難しい問題だが、自分で考えられるようになってください」と呼びかけた。3年生になったら、学習範囲を原子力発電の仕組みに発展させたいという。

*正しく怖がる

 こうした放射線教育に金谷中が力を入れるのも、島田市は中部電力浜岡原発(静岡県御前崎市)から30キロ圏内に位置するうえ、被災地の岩手県のがれき処理を引き受けているからだ。全市的にも放射線への関心が高いとされる。
 このため市教委が中心になり12年度、教員らも加わり放射線教育推進委員会を設けた。本年度は全小中25校の小学4年生以上を対象に放射線の授業を行う。
 モデル案では小学生は年間1時間、中学生は3年間で数時間授業を受ける。
 金谷中はNIE実践4年目の実績もあり、放射線教育にもNIEの手法を取り入れている。
 公開授業後の研究討議で、油井教諭は「授業の目的は正しい知識を得て根拠を持ち(放射線を)正しく怖がること」と強調。ただ、放射線のテーマで新聞を使う際は「専門家や専門機関の間で、数値やデータの危険性が異なることがある」と難しさも認めた。(森田一志)

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