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憲法議論*96条改正 世論は、自分は*賛否の数、設問で変化*札幌信濃中3年*公開授業*情報正しく読む力育てる

 中学校社会科の公民分野で学ぶ「世論」をテーマに札幌市社会科教育連盟研究大会の公開授業が10日、札幌市立信濃中学校(厚別区)で行われた。憲法改正の発議要件を定めた96条改正の賛否についての新聞記事に加え、生徒自身の意識調査を使うことで授業づくりに役立つことを示した。(森田一志)

グループごとにワークシートの記事を読み比べ、元気よく挙手する信濃中の生徒たち

グループごとにワークシートの記事を読み比べ、元気よく挙手する信濃中の生徒たち

 担当の菅原淳教諭が「調査の数字が違うね」と問いかけた。3年3組の約30人が目を向けた先には、今年の憲法記念日にちなんだ全国紙4紙の朝刊の世論調査などがボードに貼られていた。
 改正の手続き緩和には「反対54% 賛成38%」としたトップ記事もあれば、「96条改正 反対46%」とした世論調査もあった。
 一方で「『改憲すべき』56%」と賛成に大きく傾く新聞のほか、国会議員の調査では「自・維・み9割超 改正賛成」の見出しで改憲派は自民党、日本維新の会、みんなの党で多数を占めると報道した記事があった。
 96条の改正は衆参両院それぞれ総議員の3分の2以上の賛成で国会は発議できると定められ国民投票に至る。
 生徒たちにどよめきが起きたのは3年生を対象に実施した「世論調査」が公表された瞬間だ。新聞の世論調査を身近に感じてもらうため事前に行われた。憲法改正の賛否の数が4クラスで大きく異なった。菅原教諭が意図的に別々の設問を用意したからだ。
 平和主義を定めた9条改正を視野にストレートに改正の賛否を問う質問を基本形に、「戦争にかかわることなく経済の発展ができた」と前置きされた質問には改正賛成が9人、反対20人となった。「領土問題に強力な防衛力が必要」などと条件を付けた質問には改正賛成18人で、反対の9人を大きく上回った。
 世論調査の回答は設問などの条件で変わる―。生徒はそこから新聞社の調査の一端を学び、「同じ質問だと、新聞がみんな同じ内容になってしまう」と指摘する声も上がった。
 「世論」は「民主政治」の単元で中学3年生が学習する。社会ルールづくりの「効率」と「公正」、憲法の平和主義などの後に学ぶ「公正な世論の形成」として取り上げられている。情報を正しく読み取るメディアリテラシーの玄関口だ。
 授業後、教諭約30人が参加した討議では「多様な意見で世論がつくられる。授業の狙いは生徒に通じた」とおおむね好評だった。
 教材づくりは今年4月から始まった。世論で扱うのは原発や領土も候補になったが、当時、参院選の争点になりつつあった96条に落ち着いたという。
 菅原教諭は「世論とメディアリテラシーという大きな柱で授業時間をどう配分するか悩んだ」。教材に3年生の「世論調査」を導入し、円滑な授業展開のために別の学校の「世論」の授業のビデオも参考にした。政治がめまぐるしく動く中、公開授業直前まで指導案づくりで打ち合わせは続いた。
 同連盟中学校研究部長の高橋吾一教諭(札幌市立北辰中)は「大変だったが、反省も含め今後、私たちの蓄積にしたい」。改善点を交え授業作りのヒントとして11月15日、上川管内東神楽町で開かれる北海道社会科教育研究大会で発表する。

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