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函館・亀尾小中*少人数 きめ細やかな交流*中3「良い記事」選び発表 視点を広げ読む動機付け

 小中併置校の函館市立亀尾小中学校は本年度から、日本新聞協会のNIE実践校に指定され、中学3年生6人が北海道新聞を教材にNIEの授業を受けている。担当の平沼和彦教諭は「生徒が少ないから教師ときめ細かな交流ができる」と利点を挙げる。(森田一志)

記事を選んで切り抜く中学3年生と平沼教諭(左)

記事を選んで切り抜く中学3年生と平沼教諭(左)

 JR函館駅から北東へ約10キロ。亀尾町の農業地域が既に実りの季節にある1日、平沼さんが「さあ、新聞を開いて」とNIEの授業を始めた。
 実践校元年は協会提供の新聞数紙を校内で閲覧させるなど「新聞に親しむ」環境づくりに重点が置かれる。授業は公民科を学ぶ中学3年生が対象で6月に続き2回目。「良いと思った記事」を二つ切り抜き、理由を発表させる。
 9月9~20日の道新朝刊を1人に2日分ずつ用意した。「先生、台風到来も選んでいいですか」という生徒の質問に、平沼さんは「それは良いニュースですか」とやんわり注意する。テレビ欄や広告欄などは対象外だ。
 生徒は国内、海外から地域のニュースまでを黙読し、切り抜いた記事を黒板に張っていった。レスリングの五輪残留を選んだ男子生徒は「レスリングは良かったけれど、ソフトボールやスカッシュの五輪落選は残念」、旭山動物園(旭川市)による海外のボルネオゾウ保護活動を押した女生徒は「おかげでゾウの命を守ることができる」。出席した5人全員が理由を発表し、平沼さんがそれぞれの記事の背景を説明する。
 ロシアが海底資源確保のため、北方領土の実効支配の主張を便宜的に取り下げたという記事を選んだ生徒は、途中で言葉に詰まった。平沼さんは「時間はたっぷりあるから大丈夫」と背中を押した。生徒が「日本とロシアの関係強化を印象づける狙いもある」と、記事を引用しながら発表を終えた時、ほかの生徒から大きな拍手がわき起こった。「この少人数がNIEにはちょうどいい」と平沼さんが思う瞬間だ。
 指導案では、50分の授業のうち、切り抜きと理由発表が各20分、残り10分はまとめの時間。教師と個々の生徒がやりとりをする時間を十分確保し、状況に応じて弾力的に運用できる。
 授業の締めくくりで平沼さんは自ら同じ期間の新聞から選んだ「良いと思った記事」の一覧をまとめとして読み上げた。日本の新型ロケット・イプシロンの「打ち上げ成功」、リニア中央新幹線の「東京―名古屋 来年度着工」などが並ぶ。「良いニュースには生活に『安心』『安全』『安定』となる要素がある」と共通性を挙げた。記事選びで教師の選択との違いを浮かび上がらせ、生徒にさらに新聞を読む動機付けにしてもらう試みだ。
 亀尾小中学校は戦後間もなく小中併置校となり、2002年度以降、函館市内全域から通える市唯一の特認校にもなった。児童生徒数50人弱。
 NIE指導歴約10年の平沼さんは今春着任。以前、大規模校で、同じように良いニュース選びをした時には、事件、事故絡みの殺伐とした記事も散見されたという。「ここでは生徒が素直にいい記事を選ぶ。一人一人の安定した気持ちが分かる」とNIE学習でのやりがいを語っている。

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