NIEニュース
北海道新聞に掲載されたNIE 関連の記事などを紹介します。

NIEのページ

Page of the NIE

道新・釧教大共同研究*中学校社会科・中間報告会(2の1)*学力増進、期待と課題*科学的思考の訓練 玉井氏/読解力を養う機会 本橋氏

 北海道新聞社と道教育大釧路校は1日、昨年6月から2年がかりで取り組む共同研究の中間成果報告会「学力向上とNIE―釧路管内における中学校社会科授業の蓄積から見えること―」を同校で開いた。社会の今を伝える新聞記事が教科書と実生活をつなぐ役割を果たし、思考力や判断力などの基礎学力増進への効果が期待される。この一方、新聞を教材化する難しさなどの課題も示された。報告会の内容を紹介する。(武藤理司)

実践の成果を報告する中村拓人教諭

実践の成果を報告する中村拓人教諭

 共同研究は同校の藤本将人准教授のNIE指導法の効果を検証する。使う記事が一つか複数か、確認だけか解釈までするかで四つの類型がある。釧路管内の中学校社会科教師7人が、4類型に基づく授業を続けている。
 報告会は研究と実践の成果報告、パネル討論の3部構成。藤本准教授が司会を務めた。
 研究成果報告で、へき地教育が専門の玉井康之同校教授はビデオレターで参加。新聞記事が事実から入り、その理由や背景、解説、問題提起などで構成されていると指摘し、新聞を読むことが科学的な思考方法の訓練になるとした。総合的学習でも、地域の文化や歴史、教育、福祉などをテーマにして、現実の問題を取り扱う新聞を使って社会、国家の状況と結びつけられれば「身近な地域から普遍的な認識につなげられる」とした。
 本橋幸康埼玉大准教授(前道教育大釧路校准教授)は国語科教育が専門。社会科の歴史教科書は事実を調べたり、書き出したり、まとめたりという言語活動を踏まえ、根拠を持った問題解決型の思考を育てているという。
 新聞から学ぶのは事象を語る言葉だ。高齢化社会の記事には「人口減 過去最多」「出生率 横ばい」などの見出しが出てくる。「人口減」などのニュースのキーワードを学ぶことで、社会事象の理解だけでなく、知識を活用する読解力を養っているとした。
 北海道新聞NIE推進センターの舩木理依委員は、授業を受けた中学生の9割以上が「記事を使ってよかった」と評価したことに「正直驚いた」という。このうち「勉強している内容が身近に感じられた」が16%あり、「社会参加への意識が芽生えている」と受け止めた。一方、「今は読んでいない」が全体の18%で、「新聞を使った授業の継続は必要。教師の支えがないと新聞を読み続けるのは難しい」と感じている。
 また舩木委員は、社会科教師は新聞を読んでいるが、記事を教材化するには壁があると指摘。「新聞社として支援方法を考えなくては」と話した。

*実践教諭報告*効果を実感

 樋口達也・標茶町立阿歴内中教諭 昨年度は地理で新聞を使った。授業のタイミングや目標に合った記事を探すのは難しいが、子どもが日々の生活で得た知識と、勉強で得た知識を結ぶパイプになっていると実感している。

 林祐史・釧路市立鳥取中教諭 地理で道産米の記事を取り入れた。他のマスメディアへ興味が広がった生徒もいる。新聞へのなじみは薄く、読み方を指導する必要もあるが、授業時間内では難しい。

 細野歩・釧路町立富原中教諭 本年度は、裁判員制度の賛否を書いた記事を基に討議した。「授業は世の中の動きにつながっているんですね。自分も社会科教師になりたい」と言う生徒もいた。

 今野碧・厚岸町立高知中教諭 子どもには情報活用能力が不可欠。今年は公民で社説を読み比べた。小規模校の生徒にとって、NIEは多様な考えに出合う機会。発信能力も向上させたい。

 中村拓人・留萌管内初山別村立初山別中教諭(前厚岸町立真龍中教諭) 昨年度、地元産カキ高騰を伝える記事を使ったが、生徒の多くはこの事実を知らず、社会とのつながりは薄い。ハッピーな記事が増えれば生徒は自ら読み、生きる糧にするのではないか。

 森田耕平・釧路町立別保中教諭 伝統芸能の継承者の記事を公民で使った。共感したり、他の文化にも関心を持つ生徒が多かった。読解力には差があり、記事選びには、文字量などを考慮している。

 池田泰弘・釧路市立春採中教諭 新聞は大人数で一斉に使える一方、教科書より現実的、発展的な内容で、授業の構成に工夫が必要。生徒の社会認識は深まっており、思考力や判断力などの学力が向上すると確信している。

ページ上部へ