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川柳通じ社会表現*小樽・銭函中 高橋教諭が指導*コラム、記事読み投稿/J・J大賞に5人入賞

 「銭函川柳塾」。と言っても結社名ではない。NIE実践指定校、小樽市立銭函中で取り組む川柳づくりを指す。高橋恒雄教諭(社会科)が塾頭として指導し、生徒が北海道新聞の川柳欄に投稿する。塾生たちは川柳以外の分野でも活躍を始めた。「社会を見つめ表現する」。塾の標語が創作意欲を鼓舞する。(森田一志)

「銭函川柳塾」のコーナーに集う生徒と高橋恒雄教諭(奥)

「銭函川柳塾」のコーナーに集う生徒と高橋恒雄教諭(奥)

 「優先はオリンピックか復興か」(2013年10月20日)
 「くるまえび信じて食べて落胆す」(同11月15日)
 いずれも「どうしん川柳」の掲載作品。作者は3年の銘形和威(めいがたかずい)さんだ。この3年近くで12句が採用され、同校最多を誇る。「五七五」の短い作品は「新聞を読むとパッと思いつくんです」。
 投稿は高橋教諭の着任直後の08年から始まり、この6年間で400句余りが掲載された。川柳欄の選者三浦強一さんは「学校別では銭函中の掲載が最も多い。時事川柳が目立つのは新聞を使うNIE活動の成果でしょうか」という。
 川柳づくりの主役は、3年生3クラスの全98人。1年生から続けている。欠かせないのが、毎朝のホームルームで目を通す手作りの「社会科通信」(A4判)だ。高橋教諭が早朝、実践指定校向けの新聞複数紙から記事を選んで執筆する。
 16日は、前日の北海道新聞「卓上四季」の東電再建計画、東日本大震災の避難者が集う初の交流会(小樽版)を裏表の2ページに転載した。さらに卓上四季の用語を抜き書きし、全国紙の川柳作品を模範例として紹介した。
 生徒が「通信」を読む時間は2分。短時間で多読させ、読解力の底上げを狙う。下校までに1句以上を提出し、各クラスで作者1人の句を読み上げる。
 注意点は《1》汚いことを言わない《2》人を傷つけない―など。添削せずに、優秀な作品を選んで投稿する。
 この日、高橋教諭が担任の3年A組では、女子生徒の川柳「原発の被害も負担もなぜ国民」が発表され、教室内がどよめいた。ニュースを的確にとらえたと認める一方で、同じクラスに被災地の福島県から避難してきた男子生徒がいる現実もあるからだ。
 高橋教諭は「着任当時は、定期テストで設問内容に質問が出るほど国語力が不足していた。まず生徒に新聞と手軽な川柳で社会に参画する力を養ってもらいたかった」と語る。本格化したのはNIE実践指定校になった11年から。最近、生徒たちの才能が開花している。
 100字コラムを書く「ジュニア・ジャーナリスト(J・J)大賞」(現代用語検定協会主催)で昨年上半期、最高賞の大賞などに5人が入賞した。大賞の3年荒幹彦さんは「戦争前に似ている日本」と題し憲法9条改正の動きを憂えた。「すぐ書けたのは毎日の川柳づくりのおかげかな」
 生徒玄関近くには銭函塾の歩みを示すコーナーもあり、塾の標語や実績が詳しく公開されている。
 高橋教諭は出勤途上のJR銭函駅で卒業生たちと会うことがある。「先生、新聞読んでいますよ」「後輩たちは川柳で頑張ってますね」と声をかけられるという。それは6年間の川柳づくりの手応えを感じる時でもある。

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