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北海道新聞に掲載されたNIE 関連の記事などを紹介します。

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読ませたい記事 批評し合って選択*「スクラップバトル」挑戦*兵庫教育大教職大学院 道内2人も*現職教員が発表 思い伝える好機に

 新聞記事を選び、その読後感を互いに批評し合う「スクラップバトル」に、兵庫教育大学教職大学院(兵庫県加東市)で、全国の現職教員たちが週1回、取り組んでいる。同大学の御厩(みまや)祐司教授が考案した手法で、学んだ教員たちが地域での教育に生かすことが期待され、道内からも2人が参加している。(森田一志)

御厩祐司教授

御厩祐司教授

 御厩教授は昨年7月、文科省職員から転じた。前職時代に、学校長が「パソコンの普及により職場の交流がなくなった」と嘆くのをよく耳にした。教員同士の垣根を取り払うには共通の話題が必要と考え、「その触媒に新聞を使おうと思った」として、スクラップバトルの取り組みを同10月から始めた。
 今春から学んでいるのは全国から集まった小中高教諭43人で平均年齢約41歳。4月に御厩教授が新聞を読んでいるか、調べたところ、「読まない」と「ときどき読む」の回答が計3割もあった。「ニュースだけならネットで十分」「読むのが面倒」などを理由に挙げていた。

記事とコメントをまとめたA4判の作品を回し読みする教員たち

記事とコメントをまとめたA4判の作品を回し読みする教員たち

 これに対し、御厩教授は学習指導要領が重点を置く言語活動の充実のためにも「まず現場の教員が新聞を読むのが不可欠」が持論。スクラップバトルは、教員が子どもの学習意欲を高めるために読ませたい記事を選び、その記事を選んだ理由や感想を自分の世界観、体験などからコメントする。具体的には、教員が各地から全国紙や地方新聞を持ち寄り精読。それぞれが授業で使いたい記事を選び、コメントとともにA4判1枚の作品にまとめ講義前に提出する。
 今月6日の講義では、特別に北海道新聞の5月24日夕刊と同26日朝刊を取り寄せて題材にした。《1》8~9人のグループ内で互いの作品を読み回す《2》心に響いた作品をグループ内から批評し選ぶ《3》各グループから選ばれた作品を全員の多数決で順位づける―手順で進んだ。
 最も支持を集めたのは岩瀬弘憲教諭(佐賀県唐津市)のアイヌ民族政策についての解説記事「『アイヌ空間』来月閣議決定 伝統の永続的拠点に」(26日朝刊2面)。コメントは天気予報欄の地名から、北海道はアイヌ語を語源とする地名が多いことを説明したうえで「お互いの文化が尊重できる関係の中で、共に新しい時代を創造していきたい」とまとめた。御厩教授も「伝える相手に子どもを想定し『多文化の共生』という重要なメッセージを力強く訴えていた」と高く評価した。
 同大学教職大学院には学校経営コースがあり、道教委は「スクールリーダー育成」のため、昨年度から1人ずつ2年間派遣している。
 今春から受講する伊藤純一教諭(美瑛高校)は、以前から生徒の朝学習で時事問題を教えるために新聞を使っていた。スクラップバトルを体験し「講義で選ばれる作品は分かりやすく簡潔。伝える大切さを学んで帰ったら、少し違ったやり方をしてみたい」と手応えを語る。
 昨年10月から半年間学んだ伝法谷(でんぽうや)肇教諭(釧路管内釧路町立富原小学校)は「子どもに自分の考えや体験を具体的に伝える。そのきっかけになる新聞活用は宝がいっぱい」と振り返る。自身の作品では、家庭教師の広告を取り上げて「人生の分岐点」と題し、中学3年の時、担任の先生の一言により勉強に励み念願の教師になったことを書いた。
 御厩教授はスクラップバトルをきっかけに、学校経営に新聞を広く活用するよう提言する。記事が取り上げた地域の課題を教育目標にしたり、新聞社と情報交換するのも有効という。「新聞と学校の連携は地域に利益をもたらす」と話し、スクラップバトルの教え子たちが各地域に根ざして活躍することを期待している。

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