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北海道新聞に掲載されたNIE 関連の記事などを紹介します。

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特別支援学級(2の1)*人間関係 築く力育成*山口県の小中一貫校*幅広い子に一斉授業

 知的障害や情緒障害などの子どもが在籍する「特別支援学級」でのNIEが注目されている。記事に共感したり、クラス全員が話題を共有することで、人間関係を上手に築く力の育成が期待できるからだ。工夫次第で、障害の度合いや学力が幅広い子どもたちへ一斉に授業できる点も魅力。日本新聞協会のNIEアドバイザーで唯一、特別支援を専門教科とする教師がいる山口県の中学校と、昨年度までNIE実践校だった札幌市立中島中の取り組みを紹介する。(舩木理依)

「錦織選手はどんな気持ちで戦ったのかな」。川本教諭(左奥)が尋ねると「強い人と試合できてうれしい」「次は勝つ」などの答えがあちこちから返ってきた

「錦織選手はどんな気持ちで戦ったのかな」。川本教諭(左奥)が尋ねると「強い人と試合できてうれしい」「次は勝つ」などの答えがあちこちから返ってきた

 9月中旬の山口県山陽小野田市。高く澄んだ空の下、低くなだらかな稜線(りょうせん)が続く竜王山の麓に、市立赤崎小・竜王中松原分校(小学部13人、中学部14人)はある。市内の小中学校の特別支援学級を集約した一貫校だ。
 今年から中学部がNIE実践校となり、アドバイザーでもある川本吉治教諭を中心に、取り組みが進む。
 「小中一貫で新聞活用する体制を作りたい」と考える同教諭はまず、図書館の前に「NIEコーナー」を作った。記事の切り抜きを張る掲示板とつづった新聞を置き、児童の目にも触れる環境を整えた。
 この日は、小学生も参加する全校集会で、新聞の面白さをアピール。涙を浮かべたドラえもんの目が、見開き紙面に大きく載った朝日新聞の広告(7月18日)をホワイトボードに張り出すと、子どもたちはたちまちくぎ付けになった。
 紙面の横に吹き出しを描いた川本教諭は、「ドラえもんは、どうして泣いてるんだろう。何て言ってると思う?」と問いかける。複数の児童が緊張しながらも手を挙げ、「未来に帰る」「『のび太君とお別れ』『悲しいです』って言ってる」と答えた。
 同じように使ったのは、テニスの錦織圭選手の写真が大きく載った毎日新聞の広告(9月10日)。数日前に全米オープンテニスで準優勝した上、隣接する島根県出身で、同校の子どもにも大人気だ。
 「新聞には、みんなが知っていることも載っています。難しいと思わずに見てみてください」と、川本教諭は呼びかけた。
 小学部の笠井俊江教諭は「写真や絵を見せるのはいいアイデア。新聞は社会との接点でもあり、小学部でも取り入れる意義のある学習だと思う」と、好意的だ。
 川本教諭は、10年前にも同校で勤務しており、「生徒の学力差が大きい特別支援学級で、教科書を使った一斉授業をするのは難しい」と痛感していた。
 そこで、新聞の4コママンガの結末を考えたり、写真を見て気づいたことを発表するなど、個々の生徒が達成感を得られる工夫を凝らした。
 再び着任した本年度は、4月から社会科の授業で好きな記事を切り抜かせるなどの学習を始めた。2学期以降は、記事選びの観点を「誰かに読ませたい話題」へ変えている。
 「生徒は他人の気持ちを想像したり、共感するのが難しい。こうした学びを通じ、記事を読んでもらう相手を意識したり、文中の登場人物の思いを推し量ることができる」と同教諭は言う。
 取り組みは始まったばかりだが、川本教諭の夢は膨らむ。「いずれは情報発信をさせたい。NIEコーナーに掲示する記事を生徒自身が選んだり、同級生に自分を紹介する新聞を作らせるのもいいですね」

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