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記事、広告 切り抜いて「チャリーン」*心に残る言葉「貯金箱」へ*被災地・宮城の元教師が提唱

 新聞から心に触れる言葉を集め、思いを伝える材料にしよう―。そんな活動が、東日本大震災の被災地から全国へ広がっている。提唱した仙台市のNIE教育コンサルタント渡辺裕子さんは、「ことばの貯金箱」と命名、県内外で体験型の講座を行う。実践する教師も増え、14日には岩手県NIE推進協議会がセミナーを開催、参加者は渡辺さんの指導のもと、夢中で紙面と向き合った。(舩木理依)

切った記事は「チャリーン」と言いながら箱に入れるのがルール。渡辺さん(左)のかけ声で参加者は「チャリーン」を練習

切った記事は「チャリーン」と言いながら箱に入れるのがルール。渡辺さん(左)のかけ声で参加者は「チャリーン」を練習

 会場の岩手日報社(盛岡市)には教師ら35人が集合。「言葉選びに条件はありません。誰でも簡単に、自由にできるのがいいの」と、渡辺さんは語りかけた。
 記事や広告など何を選んでもよく、切り抜いて「チャリーン」と言いながら箱に入れる点だけが“お約束”。参加者は約30分でA3判の台紙に岩手日報の見出しや写真を張り、感じたこと、特に心に残った言葉を書いた。
 来春、小学校教諭となる盛岡大4年の成田春菜さんは、笑顔を見せる子どもたちの写真と「津波てんでんこ」(「津波が来たら各自ばらばらに逃げる」を意味する東北の方言)という見出しを選び、「大切な教訓 忘れない命」と記した。「被災した子どもの笑顔の陰には必ず、前向きに生きる決意があると伝えたかった」と言う。
 活動を始めた渡辺さんは元中学校教諭で、NIEアドバイザーも務めた。退職後も地域や学校でNIEの講座を続け、現在は東北福祉大などの講師だ。
 「貯金箱」の誕生は震災から1年後。「NIEで被災者の役に立ちたい」と日々考えながら新聞を読むうち、目に留まった言葉が、心に閉じ込めていた辛さや悲しみを自覚させ、解放すると気がついた。
 「これを活動にしよう」。仙台市社会福祉協議会を通じ、借り上げ住宅に入居する被災者に呼びかけると約10人が集まった。「心が整理されすっきり」「自分が本当は何を感じているか分かった」。参加者の声に後押しされて内容に磨きをかけ、昨年のNIE全国大会静岡大会で体験型講座を行った。
 終了後、「もっと知りたい」と約20件の問い合わせがあった。沖縄県では参加者を介して広がり、今夏は地元の教諭を講師に、県推進協がセミナーを開いた。
 反響の大きさを受け、渡辺さんは指南役の育成も開始。昨年、仙台市内で行った講座の参加者から熱心な5人を誘い、研修を経て指導者に認定した。その一人、元公務員の佐藤すげよさんは「いずれ近所のお年寄りを集め、『貯金箱』を交流の場にしたい」と、夢が膨らむ。
 「繰り返すうち、みんな自然に記事を読むようになる。楽しみつつ、気づいたらNIEの入り口にいた、そんな活動になれば」。渡辺さんの思いも熱い。

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