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新聞記事読み働く意義学ぶ*喜茂別中 3年生の授業に活用*山田教諭「生きる力育む」

 後志管内喜茂別町の喜茂別中学校(小林真奈美校長、40人)で、3年生副担任の山田耕平教諭(38)=社会科=が働く意義や将来の職業について生徒に考えさせるため、働く人たちにインタビューした新聞記事を授業で活用している。職場体験も組み入れ、仕事をより身近に感じてもらうのが狙いだ。(山本肇)

新聞記事を使って授業を進める山田耕平教諭と3年生の生徒たち

新聞記事を使って授業を進める山田耕平教諭と3年生の生徒たち

 喜茂別中学校は各学年1クラス。山田教諭は副担任が主に受け持つ総合的な学習の時間を利用し、「生きること-自分の将来について考えよう」をテーマに、7月7日から授業をしている。3年生12人が12月までの間、40時間かけて学ぶ。
 最初の授業で「働く意義」を付箋に自由に書かせたら、「お金を稼ぐため」「生きるため」「自分のため」「老後のため」「三大義務だから」「周りの人に認めてもらうため」といったさまざまな意見が出た。
 翌週は、北海道新聞の就活ページ「はたらく.com」に載ったニトリホールディングス(札幌)の似鳥昭雄社長はじめ会社経営者やアナウンサーらのインタビュー記事を一つ選び、感想をワークシートに書いた。似鳥氏は23歳の時、ニトリの前身「似鳥家具店」を近所の空き店舗で始めた経験を語っており、佐藤友也君は「『夢を持てば変われる』。この言葉にとても自信が持てました。今後の人生で自分の『夢』を探していきたい」とつづった。
 シートを教室で回したところ、佐藤君の感想欄の下の空白には、ほかの生徒から「私も失敗を恐れないで自信をもって行動していきたい」との寸評が付箋で貼られた。別の生徒の感想には「自分と比較して違うところを見つけるのはすごいと思いました」との寸評もあり、生徒が他者の生き方を自分に置き換えて視野を広げていく様子が分かる。
 山田教諭は「今を生きる人物に焦点を当てて扱うのは新聞という媒体ならではだ。生徒たちは記事を通してさまざまな職業を知り、自らの将来への考えを深めることができる」と話す。
 北海道新聞の記者を招いて新聞記者の仕事について話を聞いた際は「どんな仕事でも嫌なことやつらいこともあるけど、その分、自分にとってのやりがいもあると思いました」などの思いをワークシートにつづった。「社会との関連を意識して、自分の将来についての考えを深めることができましたか」との山田教諭作成のアンケートに、12人のうち10人が「はい」、2人が「どちらかといえばはい」と答えている。
 2学期に入ったら、後志管内の倶知安農業高校に体験入学するほか、班ごとに選んだ町外の企業で職場を体験し、個々の仕事への理解を深める。いずれも、体験したことや感想をまとめ、授業で発表する。最後が学習発表会だ。校長、教頭らを審査員に、職場体験についてまとめたスライドを上映し、成果を披露する。質疑応答を通じて、他者による評価を自分たちに還元する目的もある。
 山田教諭が狙うのは総合的な学習の時間と社会科の授業を効果的に結びつけることだ。中3で履修する社会科の「公民」では、憲法が定める基本的人権一つ、社会権には勤労の権利が含まれることを学ぶ。公民の授業でも最新の記事を活用し、「非正規雇用がなぜ増えているのか」「派遣労働者は使い捨てか」といった問題を取り上げる考えだ。
 働く意義を学ぶ際、教科書や資料集だけだと、生徒たちは身近な問題としてとらえられないことがある。山田教諭は「実際に働く人の記事を読んだうえで仕事を体験すれば、生徒は働くとは何かを多角的にとらえ、自分の問題として考えられる。こうした取り組みが生きる力を育むことにつながればいい」と話す。

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