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秋田で全国大会(2の1)*導入進む電子黒板にタブレット/SNS活用も*「紙+ICT」で質向上*分科会*教師体験、課題探る

 新聞を教材として活用するNIEに情報通信技術(ICT)を導入する試みが注目されている。「紙」と「デジタル」双方の媒体の特性を踏まえたうえで、双方向性、即時性といったデジタル媒体の長所を授業で生かすのだ。7月30、31の両日、秋田市内で開かれた第20回NIE全国大会秋田大会(日本新聞協会主催)の特別分科会では、「NIEとICTの融合」をテーマに最先端の取り組みが紹介された。(山本肇)

NIE秋田大会で教育向け電子新聞の活用を体験してもらう二田貴広教諭(中央左から2人目)=秋田県民会館ジョイナス

NIE秋田大会で教育向け電子新聞の活用を体験してもらう二田貴広教諭(中央左から2人目)=秋田県民会館ジョイナス

 実践者の一人、奈良女子大学付属中等教育学校の二田(ふただ)貴広教諭(42)は「スマートフォンやタブレット端末が普及し、ICTの利用が日常化しているのに、NIEでの活用を視野に入れていないのは時代に合わない」と話す。実際、電子黒板やタブレット端末は全国の学校に導入されている。
 二田教諭はそのうえで、「ICTの長所、短所を知らなければICTの活用もできないし、従来型のNIEの長所、短所も明らかにできない」と指摘する。
 授業では、例えば、インターネット電話「スカイプ」を使い、新聞記者に生徒がインタビューする。事前に、興味のある記事を選び、記者が取材に至った動機と取材で得た情報を基に原稿をどのように組み立てたかを類推する。実際に話を聞いてみて、想定していた回答との違いを通じて、自分たちの類推の思考過程を知ることができるのだ。
 新聞やテレビの情報をうのみにせず、批判的に読み解くメディア・リテラシーやクリティカル・シンキングの能力の養成も狙っている。距離の制約なくインタビューできるから、海外の特派員とも交信している。
 学校教育向けに配信されている電子新聞「朝日新聞デジタル for school」も活用する。有効なのは記事検索機能だ。例えば、短歌の授業で「枕詞(まくらことば)」との言葉が現代はどんな意味で使われているかを調べるため、「枕詞」をキーワードに記事を探し出す。プロ野球・中日ドラゴンズの熱戦を盛り上げるのに、「今夜も名古屋は暑い!」との枕詞が一昔前は欠かせなかったとの記事が見つかる。なぜ枕詞と言うのか話し合う。
 教育向けSNS(会員制交流サイト)の「ednity」を使い、新聞社の許諾を得たうえで記事を共有する試みもある。戦後70年をめぐる記事を生徒が検索し、サイトに上げていく。40分の授業中、90種類の記事を生徒が投稿し、うち1本の感想を述べ合った。
 奈良女子大学付属中等教育学校は、沖縄県那覇市内の中高一貫校、興南中学校・興南高校など遠隔地間の2校とICTを活用したNIEに取り組み、戦後70年をめぐる記事への感想はednityを通じて沖縄の教師と生徒にも送った。ICTの活用は教師個人のNIEから複数の教師が連携するNIEを可能にする。
 二田教諭は一連の実践をNIE秋田大会の特別分科会で報告するとともに、タブレット端末による教育向け電子新聞の活用法を全国の教師に体験してもらった。
 今後、ICTの特性である《1》距離をゼロにする《2》データを瞬時に共有できる《3》データを編集しやすい《4》双方向のやりとりがしやすい―といったことをNIEに取り込めば有効と考える。
 課題はある。記事検索で多くの記事を短時間で集められる半面、生徒の間には「あまり多いと深読みできない。新聞で目当ての記事を探し当てるとしっかり読む」との声がある。紙とデジタルデータ活用の双方のNIEを担う余裕が教師にあるかどうかも問題だ。
 二田教諭は「学校での環境整備が進むなかで、新聞界がどれだけのコンテンツ(素材)を提供できるかが一つの鍵を握る」とみる。

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