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電子黒板、タブレット端末導入*ICT活用力を育成*モデル校の大阪市立昭和中*生徒に主体的学習促す*内容瞬時に共有/教え学び合う

 子どもの主体的学習を促す手段として、情報通信技術(ICT)の導入が進んでいる。大阪市指定の学校教育ICT活用事業モデル校の一つ、市立昭和中学校(田積(たつむ)直子校長)は電子黒板やタブレット端末を活用する授業を全教科で実践し、情報活用能力の育成に力を入れている。(山本肇)

生徒全員がタブレット端末を使っての公開授業を進める 植田恭子教諭

生徒全員がタブレット端末を使っての公開授業を進める
植田恭子教諭

 昭和中は各学年2学級、生徒192人、教師20人の市内では小規模な学校で、モデル校として実践を始めて3年目。日本新聞協会のNIE実践指定校でもある。モデル校は現在、小学校4校、中学校2校、小中一貫校3校の計9校ある。
 大阪市は昭和中に無線LANを整備し、各教室に電子黒板、全校生徒にタブレット端末を配備した。学校ごとの非常勤のコーディネーターとして、和歌山大学の豊田充崇(みちたか)教授(44)を充て、機器の操作について指導、助言する常勤のICT支援員を配置している。
 昭和中は16日、国語、理科、技術、数学の授業を教育関係者に公開した。このうち、国語の植田恭子教諭(57)は1年1組の「『本』についての本づくり」の授業を学校図書館で行った。「本とは何か」の電子書籍をつくる単元の7回目の授業だ。生徒たちは9月以降、本についての情報を新聞、図書館の国語辞典や百科事典、インターネットによる検索で集めてきた。
 学校側は図書館を学習・情報センターと位置づけ、さまざまな辞書、書籍はもとより、パソコンや各種データを投映できる電子黒板などの機器を備えている。
 公開授業は、テーマ別の資料の探し方を案内するデジタル版「パスファインダー」(道しるべ)をつくる内容。生徒たちは4、5人の班に分かれ、本の定義や本について調べた情報を基にタブレット端末のキーボードを操作し、本についての本を作製していく。
 調べたい事柄に関する本が図書館や学級文庫のどこにあるのかをまとめ、電子書籍に取り込むのだ。植田教諭はタブレットで電子書籍作成用のアプリを使い、画面の表示を電子黒板に映しながら手順を説明する。
 今後、「本の歴史」「本の構造」「本とのつきあい方」などの内容を盛り込み、11月の完成を目指す。調べたことは紙にも記録していくので、電子版と紙の二つの本ができる仕組みだ。
 植田教諭は新聞を教材に活用するNIEに取り組んで30年近い。東日本大震災の被災地とテレビ会議システムで交信したり、教育向けSNS(会員制交流サイト)を使ったりとICT活用のNIEに積極的だ。
 ICTの特長は、情報を瞬時に共有でき、子どもたちがともに教え合い、学び合う「協働学習」を模索できること。昨年度、生徒対象に実施したアンケートでは、授業が「楽しい」「分かりやすい」との回答が最も多く、タブレット端末はいまや文具の一つとなっている。
 植田教諭は「他者の考えを認識し、受け入れ、協調しながら自分の考えをまとめるのに効果的」と指摘する。一方、「ものごとをじっくり考える時はアナログが適している」と考え、デジタルとアナログの融合を目指している。双方に共通する課題は「情報を扱う上でのモラル、情報の適否を判断する力を生徒に身に付けてもらうこと」だ。
 コーディネーターの豊田和歌山大教授は「情報活用能力が成績につながるとなれば生徒たちはやる気を起こすかもしれないが、実際は受験や成績に関係なく、楽しんで創作意欲を発揮する」とし、「学級新聞をつくる場合、手書きがいいという生徒もいれば、情報量が多いからパソコンを使うほうがいいという生徒がいるかもしれない。メディアの特性を踏まえて選択できればよい」と話す。

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