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北海道新聞に掲載されたNIE 関連の記事などを紹介します。

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学校図書館と連携探る*社会と教室 つなぐ拠点に*手法、目的 違いの認識必要

 学校図書館と学校司書には、新聞の情報を分類整理して教材化する「校内のNIEの拠点」としての期待が高まる。文部科学省は昨春、学校司書の配置を努力義務としたものの、実際に置いている公立学校はまだ半数で、道内では1割に満たない。旭川市内の小学校の取り組みと「NIEと学校図書館の連携」に関する調査研究の結果から、今後の課題を探った。(渡辺多美江)

新聞記事を掲示する愛宕東小の三谷智恵子さん

新聞記事を掲示する愛宕東小の三谷智恵子さん

 旭川市は2015年度、市内82の全小中学校への学校司書配置を実現した。複数校の兼務を含め、現在、54人が活動している。
 東部の愛宕(あたご)東小学校―。図書館の入り口近くに、最新の新聞ニュースの切り抜きが並ぶ。漫画家の水木しげるさんが亡くなった時は、新聞各紙の記事の切り抜きをすぐに掲示した。
 学校司書の三谷智恵子さんは「見出しと写真だけでも見せたい。新聞記事を出すと、ふだん動きの少ない本が貸し出しされたりします。好奇心が刺激されるようです」と話す。切り抜きは頻繁に更新し、山村志保子校長が「図書館に来ると世の中の動きがわかる」と感心するほどだ。
 図書館は40平方メートルほど。応接セットがある場所に、道新こども新聞「週刊まなぶん」など新聞社の小学生向け新聞が備わり、昼休みに子どもたちが手に取る。記事の切り抜きを「たべもの」「スポーツ」「科学」など分野別に綴じ込み、子どもたちの「調べ学習」に備えてもいる。
 「マイナンバーの教材探しでは『まなぶん』の特集に助けられました」と振り返り、「教科書や本では対応できない。新聞しかできないこと」と付け加える。
 教員から教材作りで相談を受けたり、逆に、授業に使えそうな新聞記事をそろえて「教材にしてはどうですか」と持っていく。社会と教育現場をつなぐ情報拠点として、これからも新聞活用に力を入れる考えだ。
 課題はある。学校司書の雇用形態や待遇は地方自治体に委ねられ、ばらつきがある。道内でも非正規職員が多い。先進的な旭川市でも学校司書は嘱託職員で1日4時間の短時間勤務だ。

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平岡中央中の三上久代教諭

平岡中央中の三上久代教諭

 学校図書館とNIEとの連携は近年注目されたばかりだ。札幌市立平岡中央中学校の三上久代教諭(司書教諭)は、NIEと学校図書館の活動を通じて「何かぴんとこない」と感じていた。
 神奈川県相模原市立鵜野森中学校の村山正子教諭(同)と共同で全国学校図書館協議会(SLA)とNIEの実践活動を比較研究した結果、「手法や目的にずれや違いがある。双方が連携するにはお互いを知ることが重要」と考える。
 三上教諭らは双方の実践を「新聞全体を教える」「新聞を作る」「教師が新聞記事を与えて学ぶ(新聞で学ぶ)」「児童生徒が記事を探して学ぶ(新聞を使う)」の四つに分類し、実践例の割合を算出した。
 それによると、NIEの場合は「新聞で学ぶ」比重が大きく、SLAでは「新聞全体を教える」「新聞を使う」傾向が強い。「新聞を作る」の場合は内容に違いが見られ、SLAでは「調べ学習のまとめを書く」作業が多く、NIEでは「ジャーナリズムの姿勢を意識し、新聞の構成を踏まえる」ケースが多かった。
 三上教諭は「学校図書館とNIEが連携するには、こうした違いを双方が認識し、両方をつなぐ人材の育成など環境整備が重要だ」と話している。

◇学校司書◇
 学校図書館の専門職員。2015年4月施行の改正学校図書館法で役割が明文化され、学校配置が努力義務となった。資格の規定はない。文部科学省によると、全国の公立学校の学校司書約1万3千人の55%が採用時点で図書館司書の資格を有し、資格、図書館勤務経験のない人が27%。14年の全国の配置率は小学校54%、中学校53%、高校64%。学校図書館法は、学校図書館資料の選択・収集・提供や子どもの読書活動の指導を行う司書教諭の配置を12学級以上の学校に義務付けている。

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